2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子レベルから見た物質透過バリアー機能解明と新規薬物透過制御法の開発戦略
Project/Area Number |
21590178
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 善照 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (70175131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 まき子 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (50199296)
小泉 直也 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (80433845)
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Keywords | 生体機能利用 / 生体膜バリアー機構 / 薬物透過制御法 / 消化管上皮細胞層 / タイトジャンクション / 遺伝子解析 / マイクロアレイ解析 |
Research Abstract |
昨年度に続き、消化管上皮細胞におけるtight junction(TJ)バリアー機能と物質透過の上昇に関する機構を解明するために、モデル作用物質としてウェルシュ菌毒素のC末断片(C-CPE)を用いて検討した。 C-CPEはTJを一過性に開口することを見出してきた。TJバリアー機能の解析を目的として、消化管モデル細胞のヒト大腸癌由来Caco-2細胞単層膜を用いて、C-CPEを作用させTJが開閉する時に変動する遺伝子をマイクロアレイ解析で行った。マイクロアレイ解析の結果、約45,000種類の遺伝子のなかで、C-CPEによりTJが開口時に開口前と比べて発現量が4倍以上増加した遺伝子は106種、同発現量が1/4に減少した遺伝子は182種存在することを見出した。細胞接着、細胞内シグナル伝達、脂質放出に関与するファミリーに属する遺伝子が多数検出された。(第55回日本薬学会関東支部大会(千葉県、東邦大学)で発表)一方、C-CPEを添加前後で発現量の変動する遺伝子をサブトラクション法で解析し、小胞体から細胞質への輸送に関わるtransloconであるSec61 βを同定した。この結果に基づき、Sec61 βを過剰発現させたMDCK細胞の作成を試みた。Sec61 β発現プラスミドを導入したMDCK細胞(Sec61 β過剰発現細胞)又はSec61 βを組み込まないプラスミドを導入したMDCK細胞(コントロール)の上皮電気抵抗(TER)値を、TJの形成時、C-CPE添加によるTJ開口時、及びC-CPE除去後のTJ再形成時について測定した。培養開始後、Sec61 β過剰発現細胞ではコントロールに比べてTERの上昇が速く認められ、TJの形成が速やかであった。また、C-CPEを作用させたときのTERの低下(TJ開口)及びC-CPEを除去後のTERの上昇((TJ再形成)がSec61 β過剰発現細胞の方がコントロールよりも速かった。(日本薬学会第132年会(札幌市、北海道大学)で発表)
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Research Products
(2 results)