2011 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチの分子標的治療薬の薬効発現過程を考慮した個別化投与法の構築
Project/Area Number |
21590181
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山田 安彦 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40158225)
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Keywords | 薬学 / 臨床 / 投与設計 / 薬剤反応性 / 遺伝子 / リウマチ / TNFα |
Research Abstract |
特定疾患である関節リウマチ(RA)の病態には、TNFαやIL-1β、IL-6等の炎症誘発性サイトカインが関与しており、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるインフリキシマブ(IFX)、アダリムマブ(ADA)および完全ヒト型可溶性TNFα受容体デコイであるエタネルセプト(ETN)がRA治療薬として上市されている。しかし、いずれの薬剤においても、期待された効果が十分に得られない患者が存在することから、薬物標的であるTNFαの変動因子を同定し、それを考慮した投与設計を行うことは、治療効果の予測および患者個別の薬物治療の実現のために重要である。そこで、IFX、ADAおよびETNの薬効発現過程の理論的解析およびその変動要因について詳細に比較検討を行うことにより、患者個別の薬物療法に適用可能な方法論を構築することを目的とした。本研究は、1.RA治療におけるIFX、ADAおよびETNの薬効発現過程の理論解析、2.RA治療における各薬剤の薬効発現過程の比較検討、3.各RA治療薬の薬効発現に影響を及ぼすTNF受容体遺伝子多型の探索、4.TNFαおよびTNFR遺伝子多型情報を組み入れたIFX、ADAおよびETNの薬効発現過程に関するモデルの構築で構成されており、今年度は上記4を実施した。TNFα遺伝子-857C/T多型において、TNFα mRNA発現量、TNFα蛋白発現量の変化を検討した結果、-857Tを有する方が-857Cを有する方よりも4.34倍高い傾向が見られた。ついで、得られた変化率を、上記1および2で構築した薬効発現モデルに外挿し、効果発現にどの程度変化を及ぼすかをシミュレートした結果、いずれの薬剤においても大きく変動し、個別投与設計(用量調節)の必要性が示唆された。
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