2011 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における薬物療法と栄養療法の相補的作用機構解明と適切な薬物投与設計
Project/Area Number |
21590182
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
林 正弘 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幹雄 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (60207610)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / methylpredonisolone / P-glycoprotein / 薬物療法 / 栄養療法 / 必須不飽和脂肪 / Dextran Sodium Sulfate |
Research Abstract |
申請者はDextran sodiunm sulfate(DSS)誘導炎症性腸疾患(UC)モデルラットを作製し、メチルプレドニゾロン(MP)の薬物療法において、.リノール酸(LA)およびリノレン酸(LnA)の有用性について検討を行い、(1)UC群においては、空腸からの吸収が顕著に見られるMPによる薬物療法単独では、ステロイドの全身移行による副作用の危惧が示唆されること、(2)これに対して、栄養療法を併用することで、MPの空腸からの吸収が抑制され、病変部位の結腸に効率よく送達されること、(3)このような現象は、P-glycoprotein(P-gp)の機能変動および発現変動に基づいた現象であり、LAおよびLnAはその変動を修飾することで薬物療法を効率よく支えていることを明らかにしてきた。23年度は、UCのクリアランス臓器に及ぼす影響について検討した。MP静脈内投与後の血漿中MP濃度推移から、全身クリアランスを評価したところ、UC群においてMPの全身クリアランスの低下が示され、LAおよびLnA群においてはその回復が見られた。このことから、両必須不飽和脂肪酸の投与はクリアランス低下を回避できる可能性が考えられた。肝機能に関しても、UC群での胆汁流量の低下に対して、LAおよびLnA群において、その回復が認められた。P-gpタンパク発現量もUC群で低下が見られ、両脂肪酸投与群においてその回復が示された。以上、DSS誘導UCモデルラットにおいて、MPの全身クリアランスの低下が認められ、このクリアランスの低下は肝P-gp機能・発現低下による胆汁排泄の減少が一因であることが示された。また、LAおよびLnAの投与により、これらの低下が回復したことから、両必須不飽和脂肪酸の有用性が示された。なお、腎の機能変化については、引き続き検討課題となった。
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