2011 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブを用いた組織指向型薬物送達システムの構築
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21590183
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
灘井 雅行 名城大学, 薬学部, 教授 (00295544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 水溶化 / 蛍光ラベル化 / 体内動態特性 |
Research Abstract |
これまでの検討において、単層カーボンナノチューブを強酸処理して導入したカルボキシル基に末端アミノ化ポリエチレングリコール(PEG)を縮合させ、さらに蛍光物質Cy5を結合させることにより、蛍光ラベル化SWCNT(Cy5-PEG-CNT)を合成する手法を確立した。本年度は、SWCNTの酸処理回数を2回および5回とすることで、酸化状態の異なるCy5-PEG-CNT合成し、それぞれをCy5-PEG-CNT(2)、Cy5-PEG-CM(5)とした。これらのCy5-PEG-CNTについて、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーを行ったところ、Cy5-PEG-CNT(5)に比べCy5-PEG-CNT(2)の分子量が大きいことが確認され、分子量の異なるCy5-PEG-CNTを合成する手法が確立できた。次に、これら酸化状態の異なるCy5-PEG-CNTの体内動態特性を検討するため、Wistar系雄性ラットに両Cy5-PEG-CNTを静脈内投与し、血漿中濃度-時間推移および尿中、胆汁中への排泄挙動を、蛍光強度を指標として観察した。その結果、血漿中からの消失はCy5-PEG-CNT(5)の方が速やかであり、全身クリアランスもCy5-PEG-CNT(2)に比べて有意に大きかった。一方、両Cy5-PEG-CNTとも尿中および胆汁中に排泄され、180分までの総排泄率は投与量の60~70%であった。しかし、尿中、胆汁中への排泄率はCy5-PEG-CNTによって異なり、Cy5-PEG-CNT(5)では胆汁中よりも尿中の方が、逆にCy5-PEG-CNT(2)では、尿中よりも胆汁中の方が高値を示した。PEG-CNT(5)はPEG-CNT(2)に比べて分子量が小さく、また導入された水溶化分子も多いと考えられることから、これらCy5-PEG-CNTにおける体内動態の差異は、物理化学的特性の違いに起因すると考えられた。以上の結果から、SWCNTの酸化状態の変化させることにより、その体内動態特性、さらには組織指向性のコントロールが可能な水溶性SWCNTを合成できることが示唆された。
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Research Products
(8 results)