2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトイオン化質量分析法を基盤とする内分泌・代謝疾患のメタボローム解析
Project/Area Number |
21590184
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
池川 繁男 近畿大学, 薬学部, 教授 (90111301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田村 邦子 近畿大学, 薬学部, 准教授 (70242526)
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Keywords | LC/MS / 胆汁酸 / テトラヒドロコルチコステロイド / グルタチオン / 安定同位元素標識体 / サルフェート / エレクトロスプレーイオン化 / メタボローム |
Research Abstract |
今年度はこれまでの研究成果を基に以下の研究を行った。初めに、ヒト尿中に排泄される5α-A/B-トランス構造を有するアロテトラヒドロコルチコステロイド3-及び21-モノサルフェートにフォーカスドしたメタボローム解析法を構築する上に必須となる内標準物質として多重重水素標識体8種を合成した。また、先に明らかにしたヒト尿中テトラヒドロコルチコステロイド(THC)・グルクロニドに関する知見をもとにTHC6種のラット並びにヒト肝ミクロソーム画分におけるグルクロン酸抱合にも検討を加え、これら基質に対する酵素反応の諸性質を明らかにした。その一方で、これまでに明らかにした胆汁酸の代謝活性中間体によるグルタチオン(GSH)抱合体の生成と胆汁排泄や肝内サイトゾール画分における3位水酸基の硫酸抱合に関する知見を基に、新規抱合体としてグルタミン抱合体を取り上げた。すなわち、標品としてヒト主要胆汁酸5種のグルタミン抱合体を合成するとともに、それらの生成と胆汁、尿中への排泄を実証すための基盤的方法論としてのLC/ESI-MSによる信頼度の高い高感度測定法の開発にも成功した。さらに、肝胆消化機能改善薬として先に提案したNアセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸(UDCA-NAC)の薬理効果に関する知見を得る目的で、アセトアミノフェン(APAP)誘発肝障害ラットの肝機能改善効果に検討を加え、APAP誘発肝障害ラットの血中ALT及びASTが、非投与群と比較して有意に低下し、UDCA-NACが薬物性肝障害を改善する可能性のあることを明らかにした。また、高アンモニア血症の治療薬として用いられるフェニルブチレートがGSH抱合体として胆汁中に排泄されることを示すとともに、本薬物の臭いや味に関する服薬上の問題点を解消すべくチオエステル結合型NAC誘導体をプロドラッグとして開発すべく、本誘導体の合成に成功した。
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