2010 Fiscal Year Annual Research Report
HGFアンタゴニスト(NK4)による滑膜増殖の制御
Project/Area Number |
21590187
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
岩崎 剛 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (10151721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 統 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00196304)
藤元 治郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜 / 血管新生 |
Research Abstract |
HGFは血管新生を促進する組織再生因子で、癌組織の増殖に密接に関与している。NK4はHGFレセプターに競合的に結合し、HGFの血管新生作用を制御でき、血管新生が密接に関与する癌の増殖を抑制できることが明らかになっている。関節リウマチの滑膜組織は血管が豊富で、滑膜増殖には血管新生が密接に関与することが示唆される。そこで、HGFアンタゴニストNK4遺伝子を関節リウマチモデルマウスに導入し関節炎抑制効果を検討した。NK4遺伝子をアデノウイルスベクターに組み込み、関節リウマチモデルマウス(SKGマウス)に静脈注射すると、24時間後に肝臓にNK4蛋白が発現し、血中に高濃度のNK4蛋白が検出された。SKGマウスにβ-グルカンを静脈注射し関節炎を誘導し、同時にNK4遺伝子を導入すると、コントロールベクター導入したSKGマウスに比べ有意な関節炎抑制効果が認められた。関節組織の病理組織学的検査では、滑膜組織の血管新生、炎症細胞浸潤が著明に減少し、骨X線検査でも骨破壊が抑制されていた。免疫染色にて、滑膜組織のIL-1、 IL-6、 TNF-αなどの炎症性サイトカインの発現が抑制されていた。また、破骨細胞分化誘導に密接に関与するRANKLの発現も抑制されていることが明らかになった。さらに、ヒト滑膜細胞株(MH7A)やマウスCD4+T細胞にリコンビナントNK4タンパク(rNK4)を添加し、その効果を検討した結果、CD4+T細胞からのIFN-γ, IL-4, IL-17の産生、MH7A細胞からのVEGF, bFGFの産生が抑制されることが明らかになった。以上の研究成果から、NK4は滑膜組織の血管新生、炎症性細胞浸潤、炎症性サイトカインやRANKLの発現を抑制し関節滑膜の増殖と骨破壊を抑制できることが明らかになった。NK4は新規関節リウマチの治療薬として期待できる。
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