2011 Fiscal Year Annual Research Report
非調和比を用いたヒトおよびマウス胎児骨格および臓器形態形成機構の解析
Project/Area Number |
21590194
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
宇田川 潤 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10284027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 浩 島根大学, 医学部, 教授 (20160533)
橋本 龍樹 島根大学, 医学部, 助教 (90252907)
松本 暁洋 島根大学, 医学部, 助教 (70346378)
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Keywords | 非調和比 / 三重比 / マイクロCT / 形態形成 / 運動機能 |
Research Abstract |
1)ヒトの胎生期から成人にかけての上下肢、体幹の非調和比の経時的変化のパターンを詳細に解析した。また、ヒトの無脳症胎児における頭部の非調和比を測定したところ、正常の胎児に比較して極端な低値を示したことから、身体のプロポーションを定量的かつ簡単に使用できる診断指標としての非調和比の応用の可能性を示した。さらに、マイクロCTで撮影した下顎骨の形態に関し、プロクラステス解析や薄板スプラインを用いて評価することにより、正常および形態異常の下顎骨の形状差を検出できた。これらの方法は、形態形成の評価に応用可能と考えられ、本年度に論文発表を行った。 2)10nmの金コロイドで標識したストレプトアビジンを用いた免疫染色および銀増感を行うことにより、マウス10.5日胚の中脳後脳境界および視床下部におけるFGF8の立体発現分布をマイクロCTで可視化することに成功した。これにより、立体的なFGF8の濃度勾配の相対値をもとに、その非調和比が計算可能となった。 3)中手骨、中足骨および指節骨長から求めた手足の三重比は、四足歩行をする地上性のサルとヒトの間で、示指から小指までの各指において有意差は認められなかったが、これら4指における三重比の変化のバターンは異なっていた。ヒト以外の霊長類では示指から小指までの各指の三重比にほとんど差はないが、ヒトの手の中指・環指の三重比は示指・小指のそれと比較して小さく、足では示指から小指にかけて三重比が大きくなる傾向を認めた。また、ヒトの手足の母指の非調和比は、ヒト以外の霊長類のそれと比較して大きいが、ヒトと地上性のサルの手の母指の非調和比に有意差は認められなかった。本結果は、各指における三重比や非調和比の値そのものに加えて、各指の三重比や非調和比をまとめた変化のパターンも、様々な形状の物体の把握や操作などの器用さに関連している可能性を示している。
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Research Products
(36 results)