2010 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ突然変異体jaodoriを用いた運動性繊毛の機能解析
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21590197
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小林 大介 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (60376548)
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Keywords | 発生 / 運動性繊毛 / ダイニン |
Research Abstract |
これまでの研究により、メダカ突然変異体jaodori(joi)で観察される左右軸の異常は、左右軸決定に必須な、クッペル胞(KV)上皮に存在する繊毛の運動阻害によることを解明した。更に原因遺伝子としてdynein axonemal intermediate chain 2(dnai2)を同定し、KVの繊毛において、繊毛運動に必須なダイニン腕が欠失していることも明らかにした。しかしながら、繊毛運動の阻害は、水頭症や嚢胞腎等を伴うことが報告されており、joiにおいて、なぜ左右軸の異常のみが観察されるのかは不明であった。この問題に対し、もう一つのdnai2遺伝子が一部で冗長的に機能しているためではないか仮説を立て解析を行った。 データベース検索の結果、新たなDANI2メダカホモログ(dnai2b)を同定した(以下joiの原因遺伝子をdnai2aとする)。これら2つのdani2は耳胞、腎臓といった器官で共通に発現しているが、KVにおいては、joi/dnai2aのみが発現し、dnai2bの発現は認められなかった。このことから、両遺伝子は機能的に相同で、発現パターンの違いがjoiにおける左右軸の異常を説明できると考えられた。そこで、両遺伝子が機能的に相同であるか否かを確かめるために以下の2つに実験を行い、仮説を検証した。 (1) dnai2bの野生型mRNAを用いてdnai2のアンチセンス阻害胚の表現型は回復するか?(2) 2つのdnai2遺伝子を同時に阻害したときに、嚢胞腎等の表現型が観察されるか?解析の結果、両実験の結果ともに両遺伝子が機能的に相同であることを示し、仮説が正しいことが検証された。
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