2011 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ突然変異体jaodoriを用いた運動性繊毛の機能解析
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21590197
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小林 大介 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (60376548)
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Keywords | 発生 / 運動性繊毛 / ダイニン |
Research Abstract |
これまでの研究により、メダカ突然変異体jaodori(joi)で観察される左右軸の異常が、左右軸決定に必須な、クッペル胞(KV)上皮に存在する繊毛の運動阻害に起因することを明らかにした。更に原因遺伝子としてdynein axonemal intermediate chain 2(dnai2)を同定し、KVの繊毛において繊毛運動に必須なダイニン腕の欠失が、繊毛運動能阻害の原因であることも明らかにした。本年度は、joiの成魚において観察される体軸の著しい屈曲異常に関する詳細な観察や、その原因の解析を行った。 体軸の著しい屈曲異常は、本来均等であるべき左右および背腹軸の発達バランスの異常に起因すると考えられる。そこで、joiで観察された初期胚における繊毛運動能阻害に起因する左右軸決定の異常が、成魚で観察される体軸の屈曲異常の原因であるか否かを調べるために、アンチセンスオリゴを用いて初期胚におけるdnai2の機能を阻害した。その結果、胚においては変異体の表現型を再現したが、同固体を成魚まで育てたところ、体軸の屈曲異常は観察されなかった。また変異体胚を野生型のdnai2でレスキューしたところ、孵化時には左右軸決定の異常は回復し、野生型とまったく区別がつかなかったにもかかわらず、成長するにしたがって体軸の著しい屈曲異常を示した。以上のことから、体軸の著しい屈曲異常は発生初期の左右軸異常とは異なった機構で引き起こされることが明らかとなった。また体軸の屈曲異常に伴って観察される堆骨の融合に関して、成長段階を追って観察を行った。その結果、初期の堆骨形成過程では、堆骨の一つ一つの形成には異常が観察されなかった。また成魚の組織切片の観察からも、骨、筋肉の明らかな異常は観察されなかった。
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