2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓発生過程の心内膜床形成でおこる心内皮形質転換で浸潤を誘導する転写因子の探索
Project/Area Number |
21590201
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山岸 敏之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60255122)
|
Keywords | 心臓発生 / 心内膜床 / 上皮-間葉形質転換 / 転写因子 / sox9 |
Research Abstract |
これまでに胚心臓に発現する遺伝子の網羅的解析を行い、心内膜床形成領域特異的に発現する遺伝子を同定している。心内膜床形成に関してこれらの遺伝子の機能を調べたところ、転写因子のsox9は心内皮細胞に形態変化を誘導した。この心内皮細胞の変化は、心内膜床を形成するときにおこる上皮-間葉形質転換の初期段階の変化と似ていた。心内皮細胞の間葉への形質転換は(1)細胞の肥厚、(2)細胞同士の分離、(3)細胞の遊走、(4)ゴルジ体の局在化、(5)細胞突起の形成、(6)浸潤、の段階を経て完了する。この過程においてsox9は心内皮細胞の「分離、遊走」を誘導したが、細胞外基質内部への「浸潤(完全な間葉化)」を誘導することはできなかった。研究代表者はこのことから別の転写因子の存在を予想している。本研究では「浸潤」を誘導する転写因子を同定したい。前年度は、浸潤の誘導に関係していると予想している候補遺伝子12種類をクローニングした。今年度はこれらの遺伝子の機能を調べることを目的として、候補遺伝子を発現ベクター(pCS2+)に組み込んだ。次に、これらの遺伝子をsox9とともにカチオン性脂質を用いて、器官培養している心内皮細胞に遺伝子導入した。24~48時間培養後、顕微鏡下でその形態変化を観察し、遺伝子機能を検討した。その結果、sox9とslugを同時に遺伝子導入すると、心内皮細胞は形質転換し、ゲル内に浸潤した間葉が形成されることが明らかになった。さらに、このとき生じた間葉細胞には、間葉の指標となるα平滑筋アクチンの発現も誘導されることが分かった。
|