2011 Fiscal Year Annual Research Report
心臓発生過程の心内膜床形成でおこる心内皮形質転換で浸潤を誘導する転写因子の探索
Project/Area Number |
21590201
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山岸 敏之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60255122)
|
Keywords | 心臓発生 / 心内膜症 / 上皮-間葉形質転換 / 転写因子 / sox9 |
Research Abstract |
胚心臓に発現する遺伝子の網羅的解析を行い、心内膜床形成領域特異的に発現する遺伝子を同定した。心内膜床形成に関してこれらの遺伝子の機能を調べたところ、転写因子のsox9は心内皮細胞の形態変化を誘導した。この形態変化は、心内膜床形成過程でおこる上皮-間葉形質転換の初期段階に類似していた。心内皮細胞の間葉への形質転換は、(1)細胞の肥厚、(2)細胞同士の分離、(3)細胞の遊走、(4)ゴルジ体の局在化、(5)細胞突起の形成、(6)浸潤、の段階を経て完了する。このことから、sox9は心内皮細胞の「分離、遊走」に関係するが、sox9単独では細胞外基質内部への「浸潤(完全な間葉化)」を誘導できないと考えられた。本研究では「浸潤」を誘導する転写因子の同定をこころみた。本年度までに浸潤の誘導に関係していると予想した候補遺伝子12種類を単離し、3次元培養系を用いてスクリーニング行った。その結果、心内皮細胞にsox9とslugを同時に遺伝子導入すると、ゲル内に浸潤した完全な間葉が形成されることが明らかになった。本年度は、sox9がin vivoの心内膜床形成に必要な因子であるかどうかを検討するため、sox9の機能阻害実験を行った。房室管の器官培養系で培養液中にsox9に対するsiRNAを投与したところ、間葉形成は阻害された。以上の結果から、心内膜床形成過程おいてsox9は間葉形成に必要であり、心内皮細胞(上皮)の間葉化の初期段階を制御している可能性が高い、と考えられた。
|
Research Products
(2 results)