2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚感覚装置グリア細胞におけるATP誘発性信号局在化の形態・分子基盤
Project/Area Number |
21590206
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩永 ひろみ 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30193759)
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Keywords | 感覚神経終末 / 終末シュワン細胞 / グリア / アデノシン5'-三リン酸 / プリン作動性信号 / G蛋白共役型受容体 / カベオラ / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
皮膚感覚装置のグリア細胞は,細胞膜の小陥凹カベオラに富む薄板突起を多数のばして異なる軸索終末を包むことが知られる。私は21-22年度の研究でラツト頬ひげの動き受容器槍型神経終末の分離標本にカベオラ除去剤メチルベーダシクロデキストリンを作用させる実験を行い,グリアの薄板突起に神経伝達物質ATPの受容体P2Y2とその特異的共役分子Gq11がカベオラを足場として集積すること,これに基づき各薄板が局所ATP刺激に対し自身のカルシウム信号を生成できる細胞内機能区域を構成することを明らかにした。ところで,P2Y2などG蛋白共役型受容体を介した細胞応答は,二次信号物質イノシトール三リン酸が小胞体内貯蔵カルシウムイオンの細胞質への放出を促すことがきっかけとなって形成される。しかし,感覚装置グリア薄板は膜性小器官に極めて乏しいことが報告されている。そこで本年度は,グリア薄板内カルシウムイオン貯蔵所の形態特徴を明らかにするため,ラット槍型終末を材料として,四酸化オスミウム処理(Tanaka & Mitsushima, 1984)で露出した細胞膜成分の走査電顕観察と,常法に従って作成した超薄切片の透過電顕観察を行なった。その結果,槍型軸索終末に伴行する薄板突起の細胞質全体に,網状に連絡しあう細管からなる典型的な滑面小胞体が広がっているのが見出された。滑面小胞体細管の内腔は時折細胞表面近くで大きさ約400nmの槽状に拡張し,各槽は3-6個のカベオラ底の細胞膜と接触して両者の膜コンパートメント間の分子相互作用を可能にしていた。
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Research Products
(3 results)