2009 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄特異的な新規遺伝子群の感覚神経ネットワーク形成における機能の解析
Project/Area Number |
21590218
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
増田 知之 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (70372828)
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / マイクロアレイ / 神経科学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
発生初期の脊髄神経節細胞(DRG)の軸索は,脊髄背側からの誘引作用によって脊髄背外側部に侵入するが,その分子メカニズムはほとんどわかっていない.私たちはこの誘引メカニズムの解明を目指して,マイクロダイセクション法とマイクロアレイを併用し,脊髄背側部に発現する25個の新規遺伝子を得ることに成功した.本年度は,これらの新規遺伝子群のうち,特に興味深い発現を有する3個の遺伝子(Hip1r,Nav2,Fstl5)に注目し,マウス胚とニワトリ胚におけるその発現様式の詳細な解析を行った.その結果,マウス胚におけるHip1rのmRNAは脳・脊髄の特定部位以外に,顎下腺・鼻腺・涙腺といった頭部の分泌組織に特異的に発現することが判明した.さらに,ニワトリ胚では発生初期の脊索にも非常に強い発現がみられた.脊索が発生期に軸索ガイド分子も含む様々な形態形成に関与する因子を分泌するセンターであることを鑑みると,Hip1rタンパクは各組織で分泌制御に関して重要な役割を担う可能性が示唆された.次に,これらの新規遺伝子の機能解析に向けて,各遺伝子のニワトリホモログ遺伝子のクローニングを行った.その結果,各遺伝子の全長ホモログを無事取得した.現在,これらのホモログ遺伝子の発現ベクターを構築中である.発現ベクター構築後は,ニワトリ胚への電気穿孔法による遺伝子導入実験および培養実験によって,各遺伝子の軸索ガイダンスにおける機能を評価する予定である.本研究を推し進めることで,脊髄背側部の軸索誘引作用によるDRG軸索の標的認識メカニズムの解明を目指す.
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Research Products
(6 results)