Research Abstract |
発生初期の脊髄神経節細胞(DRG)の軸索は脊髄背側からの誘引作用によって脊髄背外側部に侵入するが,その分子メカニズムはほとんどわかっていない.私たちはこの誘引メカニズムの解明を目指して,マイクロダイセクション法とマイクロアレイを併用し,脊髄背側部に発現する25個の新規遺伝子を得ることに成功した.昨年度には,これらの遺伝子群のうち,特に興味深い発現を有する3個の遺伝子(Hip1r,Nav2,Fstl5)に注目し,マウス胚とニワトリ胚におけるその発現様式の詳細な解析を行った.さらに機能解析に向け,各遺伝子のニワトリホモログ遺伝子を取得した.今年度は昨年度の成果を受けて,最初に,これらのホモログ遺伝子の発現ベクターの構築を行った.次に,これらの発現ベクターを用い,HEK293細胞に各遺伝子の遺伝子産物を一過性に発現させ,それらのHEK細胞とDRGの組織片を一緒に培養することで,各遺伝子産物の感覚神経軸索の伸長に及ぼす影響を調べた.さらに,電気穿孔法によって,これらの発現ベクターをニワトリ胚に導入し,各遺伝子を生体内で発現させ,各遺伝子の機能解析を試みた.これらの解析の結果,それぞれの遺伝子で,DRG軸索の走行に異常が認められる例が散見し,現在,遺伝子導入結果の正確な評価を進めている.本研究を推し進めることで,脊髄背側部の軸索誘引作用によるDRG軸索の標的認識メカニズムの解明を目指す
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