2009 Fiscal Year Annual Research Report
Hes1およびFRS2αによる間葉性神経堤細胞の細胞分化制御機構の解析
Project/Area Number |
21590221
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
亀田 芙子 Kitasato University, 医学部, 名誉教授 (10032898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 正明 北里大学, 医学部, 講師 (60276053)
新井 雄太 北里大学, 医学部, 講師 (60329026)
武田 啓 北里大学, 医学部, 講師 (20197297)
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Keywords | 神経堤細胞 / Hes- / -マウス / 細胞分化 / 頭蓋冠 / 間脳 / 下垂体隆起部 / 甲状腺C細胞 / 鰓後体 |
Research Abstract |
Notch-Hesシグナルは細胞分化を抑制し幹細胞の維持に関与する。Hesl-/-マウスでは神経幹細胞が維持されず、正常より早くニューロンに分化し、脳や眼の形態形成に異常がおこる。神経堤細胞は頭頚部では神経節細胞の他に間葉性細胞へと分化し、骨、筋肉および結合組織となり、顔面骨や頭蓋の大部分の形成に関与する。我々はHes1-/-マウス胎児を解析し、神経堤細胞により形成される脳髄膜と頭蓋冠が欠損し脳実質が露出していること、下垂体窩より前方の神経堤細胞で形成される頭蓋底の骨化が起らないこと、さらに間葉性神経堤細胞で占められる二次口蓋に形成不全が生じるなど、このマウスが神経堤細胞の分化障害による形態形成異常と考えられる表現型を示すことを見出した。またHes1-/-マウスの下垂体隆起部の発生を調べた。隆起部は視床下部の正中隆起とロート茎を取り囲む細胞層であり、メラトニン受容体を発現し下垂体ホルモンの周期的分泌を調節している。Hes1-/-マウスでラトケ嚢またラトケ嚢の腹側下部に生じる隆起部原基は正常に形成されたが、間脳の形成不全が生じ視床下部が欠損するため隆起部原基は神経組織と結合できず、隆起部は形成されなかった。咽頭由来内分泌器官の発生・分化・移動は発生初期に各鰓弓に侵入する間葉性神経堤細胞との相互作用によってなされる。Hes1は各鰓弓に分布する間葉性神経堤細胞に発現していた。Hes1-/-マウスでは第4咽頭嚢から起こる鰓後体由来の甲状腺C細胞は殆どの個体で欠損し、甲状腺葉も著しく低形成であった。また第3咽頭嚢から生じる上皮小体と胸腺は発芽部位から移動できず痕跡的に存続した。さらにHes1-/-マウスでは鰓弓内の間葉性細胞の細胞増殖が減少しまたアポトーシスが増加することも分かった。このような結果から、Hes1遺伝子は神経細胞のみならず間葉性神経堤細胞の分化・発達を制御し、個体発生に極めて重要な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(5 results)