2011 Fiscal Year Annual Research Report
Hes1およびFRS2αによる間葉性神経堤細胞の細胞分化制御機構の解析
Project/Area Number |
21590221
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
亀田 芙子 北里大学, 医学部, 名誉教授 (10032898)
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Keywords | Hes1-/-マウス / Mash1 / 交感神経上頚神経節 / 頚動脈小体 / 総頚動脈 / 神経堤細胞 / 形成不全 / Wnt1Cre/R26Rマウス |
Research Abstract |
Notch-Hesシグナルは多くの組織で細胞分化を抑制し幹細胞を維持している。神経系でHes1はproneuralgeneであるMash1やNgn2の発現を抑制し、神経前駆細胞を維持する。Hes1ノックアウト(-/-)マウスでは神経細胞の分化が早期に起こり、神経管は形成されず脱脳症など脳の形態形成異常が生じる。Mash1は交感神経系や頚動脈小体主細胞の形成に必須の遺伝子であり、Mash1が欠損するとこれらの組織は形成されない。今回の研究ではHes1-/-マウスにおける交感神経上頚神経節(SCG)および頚動脈小体の発生を野生型と比較して調べた(Kameda et al., Dev.Dyn.in press)。野生型マウスの頚部交感神経原基は胎生12.5日(E12.5)で明確となり、E13.5でSCGが下頚神経節から分離し頭側へと移動を始める。E14.5からSCGは成体と同様に頚椎C1-C3のレベルに位置し肥大していく。Hes1-/-マウスではE12.5で既にSCGの萎縮が起こり、胎齢と共に体積および細胞数の減少は著しく、E17.5では体積は野生型SCGの26.3%の大きさしかなく、細胞総数は24.5%しかなかった。また頭側に移動せず細長いままで頚部中央に位置するSCGも多かった。野生型マウスの頚動脈小体原基はE13.0で第3鰓弓動脈壁に形成されるが、この時SCGと接しており、E13.5でSCGからの前駆細胞が原基に侵入を始め主細胞へと分化する。Hes-/-マウス30例中4例(13.3%)において第3鰓弓動脈由来の総頚動脈が欠損しており頚動脈小体は形成されなかった。総頚動脈が存在する胎仔においては頚動脈小体は形成され、形成時期は野生型と同様であったが、E17.5で頚動脈小体の体積は野生型の52.5%の大きさしかなかった。Histone H3抗体で染色しSCGおよび頚動脈小体における細胞増殖を調べると、野生型に比較してHes1-/-マウスでは増殖数が著しく減少していた。このような結果からHes1はSCGおよび頚動脈小体の分化・発達を制御する遺伝子であることが分かった。
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