2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 倫子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60332178)
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Keywords | 生理学 / 糖尿病 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
生体の糖代謝に重要なホルモンにインスリンが挙げられる。インスリンの分泌にかかわる分子の機能や動態を明らかにするために、蛋白の蛍光標識と2光子励起画像法を応用して解析した。分泌細胞株であるINS-1に光活性型GFP(PA-GFP)標識SNAP25の遺伝子を導入し、細胞膜の一部で光活性化を行った結果、SNAP25の拡散が観察された。さらに拡散の様式には二種類有ることを見出した。本実験をより生理的な初代培養細胞で行うために、発現ウィルスベクターの作製に取り組み、成功した。また、SNAP25の拡散はSyntaxinの密度勾配に左右される可能性を考え、蛍光標識ベクターの作製を行った。さらにSyntaxinの拡散については光褪色後蛍光回復法を用いて検討した。 膵ベータ細胞にはインスリン顆粒の他、シナプス小胞様顆粒も存在する。SNAP25の分子内FRETプローブ(SLIM)を利用しても、シナプス小胞様顆粒の開口放出に伴うシグナルは現在まで検出できていない。以前行った解析によると、シナプス小胞様顆粒のケイジドカルシウム刺激による分泌は同期し、かつ、その数はインスリン顆粒よりも多いため(Hatakeyama H.et al.J Physiol. 582, 1087, 2007)、SNAP25以外のSNARE蛋白質が、膵β細胞のシナプス小胞様顆粒の膜融合を担っている可能性がある。SNAP25の類似体であるSNAP23は組織免疫染色により、膵ベータ細胞に発現していることが確認されており、本分子の関与が示唆される。そこで、SNAP23に二種類のGFP変異体蛍光分子を融合させたFRETプローブを構築した。INS-1細胞に導入し、分泌刺激に伴う変化を解析した。 また、SNAREの複合化に深くかかわるMunc18の変異体蛋白を膵島に過剰発現させ、分泌量の変化を2光子励起顕微鏡で定量化した。
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