2011 Fiscal Year Annual Research Report
受精卵CaオシレーションのおけるCa流入とCa遊離の機能的共役機構
Project/Area Number |
21590229
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
白川 英樹 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (40241070)
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Keywords | 細胞内カルシウムイオン / 受精 / カルシウム流入 / カルシウム遊離 |
Research Abstract |
マウス卵内のCa^<2+>動態に対するSTIM/Oraiタンパク質の機能的関与を明らかにすべく以下の実験を行った. 1)STIW/Oraiタンパク質の発現確認 抗STIM1および抗STIM2抗体を用いたWesternプロットにより,マウス成熟卵にSTIM1,STIM2の両者とも発現していることが確認できた.STIM1の発現についてはすでに報告例があるが,STIM2については初めての確認例となる.Orai1については現時点ではまだ発現が確認できていない. 2)STIM1およびOrai1の細胞質ドメイン変異体の効果 STIM1のC末端細胞質ドメインに存在するcoiled coiI領域(CC2)は,Orai1のN末端細胞質ドメインに作用してOrai1を活性化することが知られている.CC2を含むペプチド(CCb7)をマウス卵に発現させたところ,受精時のCa^<2+>オシレーションの頻度が顕著に増加した.一方でOrai1のN末端ドメインを過剰発現させてもCa^<2+>オシレーションに対する抑制効果は見られなかった.Ccb7は,Mn^<2+>quenching法を用いて測定したCa^<2+>流入速度に対して顕著な増強効果は示さなかったことから,CCb7のCa^<2+>オシレーション頻度に対する効果は,Orai1を介したCa^<2+>流入の活性化によるものではないことが示唆された. これまでの実験結果から,おそらくマウス卵でもSTIM/Oraiタンパク質の系は存在はしてはいるものの,受精時に活性化されるCa^<2+>オシレーションのCa^<2+>流入としての寄与は小さいと考えられる.一方で,STIM1のCC2がCa^<2+>流入の増加は伴わずにCa^<2+>動態に影響を及ぼしたという結果は,STIM1には従来から報告されているOraiの活性化以外の新たな作用がある可能性が示された.
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