2011 Fiscal Year Annual Research Report
消化管に発現する化学物質受容細胞を介する粘膜上皮イオン輸送制御機構に関する研究
Project/Area Number |
21590235
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
桑原 厚和 静岡県立大学, 環境科学研究所, 教授 (60142890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐木 晋一郎 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (00363903)
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Keywords | 消化管 / 化学受容細胞 / L型腸内分泌細胞 / プロスタグランジン / 短鎖脂肪酸受容体 / 苦味受容体 / 匂い受容体 / TRPA1チャネル |
Research Abstract |
消化管の一番内側を覆っている粘膜上皮は、常に外部環境と接しており摂取した栄養素を効率よく吸収すると共に生体にとって有害な物質や細菌が体内に侵入しないように働いている。そのため、粘膜には腸管神経、腸内分泌細胞および腸管免疫系の3種類の外部環境をモニターするセンサー装置が備わっている。中でも粘膜上皮に存在する腸内分泌細胞[Enteroendocrine cell]は消化管管腔に直接接しており、食物として摂取した栄養素、食品中に含まれる各種化学成分などを甘受する感覚細胞と考えられてきたが、その実態についてはほとんど明らかにされていない。 本研究では、化学物質受容体発現細胞の消化管諸機能、特に苦味受容体bitter taste receptor(T2R)を介した消化管粘膜上皮イオン輸送制御機構について、昨年度に引き続きT2Ragonistsを用いて大腸での粘膜上皮イオン輸送に与える影響について検討した。さらに、今年度は、香気成分を受容する受容体の生理作用についても新たに検討を加えた。 本年度行った実験から大腸における苦味受容体を介した陰イオン分泌は、腸管神経系を介さず、プロスタグランジン(PG)E_2との相互作用により水分泌を惹起する可能性が示唆された。さらに、香気成分として古くから利用され、匂い受容体のリガンドとして同定されたthymolを用い結腸粘膜においても匂い受容体が機能している可能性を示した。また、Thymolが誘発する一過性のイオン・水分泌には、温度感受性TRPチャネルの一つ、TRPA1が関与していることが示唆された。また、thymolは結腸粘膜における短鎖脂肪酸の受容を阻害することを見出した。
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Research Products
(7 results)