2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオンチャネル活性制御などの分子生理学的問題の全原子シミュレーション計算解析
Project/Area Number |
21590241
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西澤 和久 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (00260935)
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Keywords | 脂質ラフト / 分子シミュレーション / 計算化学 / 構造生物化学 / 分子生物物理 / 自由エネルギー摂動法 / 脂質膜 / 膜ドメイン構造 |
Research Abstract |
本研究課題は平成22年度から曲率を有する脂質膜における脂質分子の局在に注目し、異なる脂質分子が細胞内でソーティングを受け、オルガネラにより偏った局在を示す機序の解明に取り組んでいる。現在のところ生理学的重要性にも拘わらず脂質ソーティングの機構は不明である。近年Marrinkらによって考案された脂質ラフト形成の粗視化モデルを、筆者らが開発したhemifused ribbonの系に応用し分子動力学計算を実施。コレステロール依存性のドメイン形成は、平面膜と同様の時間スケールで起こり、構造秩序の高いLoドメインが比較的平坦な膜部分に形成され、Ldドメインは高い負曲率を有する部分に形成される傾向を示した。各脂質分子の有する自発曲率よるソーティングだけでは説明できない、著しい分布の偏りが、膜の曲率とドメイン形成の協奏効果によって生じることから、実際の細胞内でもマイクロドメイン形成が脂質ソーティングに寄与することが示唆される。以上の研究と並行して、米国Frederick Sachs教授らとの共同研究を実施し、伸展応答性チャネルの阻害ペプチドであるGsMTx4の作用機序の解明のため、Sachsらが実験で用いているGsMTx4のアミノ酸改変体について、膜結合エネルギーの変化を解析している。これには、プロトン化したリシン残基Lys+と脱プロトン化したLys0との比較を自由エネルギー摂動法などによって行う必要があるが、充分小さな誤差での計算は現在の技術では困難とされている。そこで、このような残基の付け根(α炭素とβ炭素間)の化学結合を伸長することにより、改変する方法(side chain-pulling法)を開発した。この方法とmean force測定法と併用することによって、アミノ酸改変の効果をある程度予測できることが示された。
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