2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内水チャネルによる細胞内水代謝の調節と病態生理
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21590242
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
石橋 賢一 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80223022)
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Keywords | 脳浮腫 / 血液脳関門 / 内皮細胞 / アクアポリン / 浸透圧 / 脈絡叢 / ノックアウトマウス / 敗血症 |
Research Abstract |
脳でのAQP11の発現と役割の解明をおこなった。免疫組織染色でAQP11は脳では脈絡叢と毛細血管に発現していた。脈絡叢では上皮細胞の細胞内に、毛細血管では血管内皮細胞細胞膜に発現していた。AQP11ノックアウトマウスノ脳を組織的に観察すると、毛細血管は変化がないが、脈絡叢上皮細胞の細胞内に空胞をみとめた。次に脳のプロテオーム解析を行った。アルブミンの低下のみが確認された。脳毛細血管は血液脳関門(blood brain barrier;BBB)として重要な役割をしているので、AQP11ノックアウトマウスと正常マウスでBBBの機能を比較した。ビオチンの流出を組織学的にアビジンとの反応で漏れを検出する鋭敏な方法で検討したが、漏出はともに認められなかった。浸透圧を変化させた状態やLPS(lipopolysaccharide)投与による敗血症モデルでも検討したがAQP11ノックアウトマウスでもBBBの破綻は観察されなかった。つぎに、浸透圧モデルを作成してAQP11ノックアウトマウスへの影響を調べてみた。はじめに正常マウスで脳のAQP1,AQP4,AQP11の発現をリアルタイムPCRで定量してみた。低Naモデル(低浸透圧モデル)ではその急性モデル(4時間後)ではこれらのAQPに変化はみられなかった。一方、その慢性モデル(3.5日後)では軽度のNa負荷ではAQP1のみが増加し、重症モデルではAQP11のみが減少した。逆に、高Naモデル(高浸透圧モデル)では、急性の軽度Na負荷ではAQP1とAQP11が減少し、高度Na負荷の急性高Naモデルではすべてに変化がみられなかった。また慢性高Naモデルでも変化はみられなかった。一方マニトール投与モデル(高浸透圧モデル)では、投与後6時間、12時間の急性高浸透圧モデルではすべてのAQPが減少した。これらのAQPの変化は複雑だが、同じ細胞にあるAQP1とAQP11は似た変化をする傾向がみられることがわかった。
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