2009 Fiscal Year Annual Research Report
T型Caチャネル遺伝子methylationによる機能修飾とがん細胞における役割
Project/Area Number |
21590247
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大久保 つや子 Fukuoka Dental College, 歯学部, 講師 (40099065)
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Keywords | T型カルシウムチャネル / Cav3.1(CACNA1G) / メチレーション / 癌増殖 |
Research Abstract |
DNAメチル化は遺伝子発現の抑制(silencing)や突然変異の原因として知られる。様々な癌細胞に発現するT型CaチャネルCACNA1G遺伝子もその発現調節を受けるものの一つであると報告されているが、その生理的な意味はまだわかっていない。本研究では、腫瘍細胞に発現するT型Caチャネルに着目し、ヒト乳ガン由来MCF-7細胞を用いて、Cav3.1(CACNA1G)チャネルの役割を別のCav3.2(CACNA1H)と比較検討した。(1)数種の腫瘍組織におけるCav3.1とCav3.2チャネルのmRNA発現量を調べると、両者共に発現していたが、それぞれの隣接する正常組織と比較すると、Cav3.1の発現量は増加ないしは減少と大きく変動し、一方、Cav3.2は殆ど変化していなかった。(2)両方の遺伝子が発現するMCF-7細胞を用いて、Cav3.1とCav3.2チャネルのsiRNAによる遺伝子ノックダウンを行うと、前者では有意な増殖促進が見られたが、後者では増殖抑制の傾向は見られたものの有意差が無かった。また、Cav3.2よりもCav3.1チャネルに特異性が高いCaチャネルブロッカーによっても細胞数が有意に増加した。(3)マイクロアレイ解析の結果、Cav3.1チャネル遺伝子がノックダウンされたMCF-7細胞においては、IL-2やFGF11といった細胞増殖促進に関わる遺伝子発現の大幅な増加が見られた。Cav3.2チャネル遺伝子のノックダウンでは、これらの変動は無かった。 電気生理学的に非常に似た特徴を持つとされ、Ca^<2+>流入機構としての役割を果たしている両者ではあるが、細胞内Ca^<2+>濃度変化に関する様式の違いなど、おそらくCav3.2チャネルとは異なる機序を介して、Cav3.1チャネルがMCF-7腫瘍細胞において増殖抑制に働くことが示唆された。
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