2010 Fiscal Year Annual Research Report
T型Caチャネル遺伝子methylationによる機能修飾とがん細胞における役割
Project/Area Number |
21590247
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大久保 つや子 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40099065)
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Keywords | T型カルシウムチャネル / Cav3.1(CACNA1G) / アポトーシス / 癌増殖 |
Research Abstract |
低電位活性型T型電位依存性Ca^<2+>チャネルは、小さな脱分極刺激で開口し、ユニークな活性化・不活性化特性を示すことから、細胞内Ca^<2+>振動の発生に適していると考えられ、遺伝子発現調節、細胞増殖などの制御に関わる可能性が示唆されている。一方、大腸癌などでT型チャネルサブタイプの1つであるCav3.1チャネル遺伝子のメチル化に起因するサイレンシングが起きていることが報告され、癌抑制遺伝子としての候補に挙がっている。Cav3.1チャネルのsiRNAによるノックダウンや、またCav3.1チャネルブロッカーProTx-Iによっても有意なMCF-7ヒト乳ガン由来細胞の増殖促進が起きること、一方、共に発現するCav3.2ノックダウンでは、変化はなかったこと等を前年度までに報告した。Cav3.1クローン強制発現によっては逆の増殖抑制が起きたが、やはりCav3.2クローン強制発現では変化が無かった。これらのことから、この増殖制御はCav3.1に特異的なCa^<2+>シグナル伝達を介したものであると示唆された。細胞免疫染色の結果、Cav3.1は核が濃染される細胞の膜に特異的に発現しており、アポトーシスマーカーannexinV陽性細胞とCav3.1の膜発現は一致していることや、TUNEL法でも同様の結果を得たことからアポトーシスとの関連が考えられた。Cav3.2チャネルでは関連が無かった。更に、Cav3.1の強制発現でアポトーシス細胞の増加が観察された。また、シクロホスファミド誘導アポトーシスはCav3.1のsiRNAによって阻害された。これらのことから、Cav3.1がアポトーシス促進に働く可能性が示唆された。以上のことから、Cav3.1チャネルを介した細胞内Ca^<2+>流入を介してアポトーシス促進に働く系が働き、MCF-7乳癌ヒト由来細胞の増殖抑制に働く機序が考えられ、Cav3.1が癌抑制遺伝子として働く可能性を裏付ける結果を得た。
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