2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たな心機能制御因子;Ca^<2+>センサーNCS-1の生理的・病態的役割の解明
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21590248
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
西谷 友重 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子生理部, 室長 (50393244)
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Keywords | カルシウムセンサー / シグナル伝達 / 心肥大 |
Research Abstract |
NCS-1(Neuronal Ca^<2+> sensor-1/Frequenin)は興奮性細胞特異的に発現するCa^<2+>センサータンパク質であり、イオンチャネルの制御などを行なうことにより、神経機能に重要な役割を担っていることが知られている。NCS-1は神経のみならず心臓にも発現しているが、心臓におけるNCS-1の生理的・病態的役割についてはほとんど不明であった。以前の研究により、NCS-1が未成熟期の心臓に神経なみに高発現することを見出した。未成熟期の心臓における興奮-収縮相関は、成体のそれとは異なることが報告されているが、その全貌は明らかではない。本研究により、NCS-1が未成熟期の細胞内Ca^<2+>代謝および心筋収縮に重要な役割を担っていることを明らかにした。またそのメカニズムとしてNCS-1によるIP_3受容体の活性化、引き続き生じるCaMKIIの活性化が未成熟期の興奮-収縮相関の増強に寄与していることを明らかにした。現在は、NCS-1の病態的意義、特に心肥大における役割について検討し、肥大心筋においてもNCS-1の発現量が増加すること、またホルモン刺激による心肥大がNCS-1欠損マウスでは軽減されることを見出した。これらの結果は、NCS-1が心肥大形成過程にも寄与するという全く新規の役割を担うことを示している。今後は、これらの反応がどのようなメカニズムを介して引き起こされるのか、詳細に検討する予定である。
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