2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規乳汁由来腸管免疫調節因子の同定とその作用発現機構の解明
Project/Area Number |
21590260
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岸本 成史 Teikyo University, 薬学部, 准教授 (60234217)
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Keywords | 牛乳 / カゼイン / 腸管免疫 / 生理活性ペプチド / 遊走 / 細胞内カルシウム応答 |
Research Abstract |
本年度では、まず牛乳カゼインおよびそのトリプシン分解物がどのような機構を介して血球系細胞を遊走・活性化させるのかを知るために、ヒト前骨髄球性白血病細胞株のHL-60細胞を用いて検討した。HL-60細胞を牛乳カゼインまたはそのトリプシン分解物で刺激すると、一過的な細胞内カルシウム濃度の上昇が見られた。HL-60細胞を1α,25-dihydroxyvitamin D_3処理によりマクロファージ様に分化、またはall-trans retinoic acid処理により顆粒球様に分化させることにより、カゼインのトリプシン分解物に対する細胞内カルシウム応答が増強した。また、この応答は、百日咳毒素やボスホリパーゼC阻害剤で阻害されることから、Giタンパク質を介することが示された。一方、この応答は、オピオイド受容体やC3a受容体アンタゴニストでは阻害されないこと、カゼイン由来の免疫調節ペプチドとして報告されているペプチドでは脱感作されないことから、既知のカゼイン由来生理活性ペプチドを介して引き起こされるものではないことが示唆された。 次に、1α,25-dihydroxyvitamin D_3処理により分化させたHL-60細胞の細胞内カルシウム応答を指標として、トリプシン消化カゼイン分解物の中から活性のあるペプチドをヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィーにより精製し、LC-TOF-MSによりその配列を決定したところ、αslカゼイン由来のペプチドが同定された。この配列を持つ合成ペプチドは、分化させたHL-60細胞の細胞内カルシウム応答を濃度依存的に引き起こすことが確認された。今回同定されたペプチドは、これまでに血球細胞などの細胞を活性化させることが報告されていないことから、カゼイン由来の新規の血球細胞活性化ペプチドと考えられた。
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Research Products
(3 results)