2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体内特異的マルチ遺伝子サイレンシング法の開発と概日時計分子基盤の解明
Project/Area Number |
21590264
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
早坂 直人 Kinki University, 医学部, 講師 (80368290)
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Keywords | 体内時計 / アストロサイト / 視交叉上核 / ノックダウンマウス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
これまで、概日時計関連の単一遺伝子ノックダウン(KD)マウスや過剰発現マウスの解析を行ってきた。しかし、一部のマウスでは、特に異常を認めないものもあり、その中には、同一組織で複数のファミリー遺伝子が発現しているものがあった。そこで、複数の遺伝子を生体内で同時に操作するために、レンチウイルスを用いてマルチ遺伝子KDマウスの作製を試みた。各遺伝子のshRNAを発現する2種のウイルスを同時に受精卵に感染したところ、両遺伝子が安定的に組み込まれたマウスを得た。しかし、両遺伝子の発現量の制御は困難であり、個体差も大きかった。 そこで我々は、現在世界的なバンク化が進められているノックアウト(KO)マウス、特に時期、組織特異的に発現を制御可能なコンディショナルノックアウト(cKO)マウスに注目した。我々はまず、概日時計に必須であるBmall遺伝子のfloxマウスと、神経と同様に概日時計機構の中心的役割を担う可能性があるアストロサイトで特異的に相同組み換えを起こすGFAP-Creマウスを入手し、それらの交配により、アストロサイト特異的に時計遺伝子をKOしたマウスの作製に成功した。これは、概日時計中枢(視交叉上核)で、神経の概日時計は正常であるが、アストロサイトでは時計が機能しないマウスである。このマウスの行動リズムをはじめとした概日リズムの解析を行うことにより、体内時計におけるアストロサイトの機能がin vivoで証明できる可能性がある。 このようなcKOマウスは、材料である2種のマウスが容易に入手可能になった今日では有効な手段である。また、我々がこれまで作製してきたマウスでは致死であったマウスでも、KOされる組織を限局することにより、解析が可能となると考えられる。更に、所期の目的である複数遺伝子のマルチサイレンシングには、2種のfloxマウスと1種のCreマウスとの交配で可能である。
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