2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内部位特異的マルチ遺伝子サイレンシング法の開発と概日時計分子基盤の解明
Project/Area Number |
21590264
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
早坂 直人 近畿大学, 医学部, 講師 (80368290)
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Keywords | 体内時計 / ノックダウンマウス / ノックアウトマウス / アストロサイト / リン酸化酵素 |
Research Abstract |
すでに報口したように、我々はレンチウイルスベクターを導入したノックダウンマウスを数作することに成功し、その成果の一部を今年度論文化した。当初の計画では、更に複数遺伝子を同時ノックダウンしたマウスを作成する計画で研究を進めてきたが、ノックダウン効率や世代を経たノックダウンマウスの維持等に問題を生じたため、ダブルノックアウトマウスやコンディショナルノックアウトマウスの作成により、計画していた研究を実施することにした。 我々はまず、概日時計に必須であるBmal1遺伝子のfloxマウスと、神経と同様に概日時計機構の中心的役割を担う可能性があるアストロサイトで特異的に相同組み換えを起こすGFAP-Creマウスの交配により、アストロサイト特異的に時計遺伝子をKOしたマウス、即ち神経の概日時計は正常であるが、アストロサイトでは時計が機能しないマウスを作製した。このマウスの行動リズムを解析したところ、リズムの異常を見出した。このことから、体内時計において、神経以外に、アストロサイトの異常が示唆された。現在マウスからアストトサイトを採取して、in vitroでアストロサイトの時計関与に関してその分子メカニズムを明らかにするために解析を行っている。 続いて、体内時計による行動や代謝を制御する新たな遺伝子候補として、SIK遺伝子ファミリーに注目した。このリン酸化酵素は、その機能がよく分かっていないが、脳内の体内時計中枢や肝臓などで24時間周期で発現が変動しており、体内時計との関連が注目された。そこで、SIK遺伝子のノックアウトマウスを用いて、活動リズム、代謝リズムその他の解析を行った結果、マウスにおいて、活動リズムに異常を見出すと共に、代謝の劇的な異常を観察した。更に、、SIKによるリン酸化の異常が,時計遺伝子の発現リズム異常と相関していることも見出した。来年度は、SIKのリン酸化標的を特定し、リズム異常に繋がる分子機構の解明を目指す。
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