2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590271
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横尾 宏毅 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (30332894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 裕一 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (50156361)
山本 誠士 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (10456361)
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Keywords | 敗血症 / 酸化ストレス / ニトロ化ストレス / Akt / インスリン作用不全 / NADPH oxidase活性 / ラジカルスカベンジャー / 細胞委縮変形像 |
Research Abstract |
盲腸穿孔敗血症マウスモデル(CLPマウス)の脳、肺、心臓組織において、組織傷害度とインスリンシグナルを、分子生物学的手法、組織免疫法などを用いて解析した。CLPマウス各組織におけるインスリンシグナル分子AktおよびGSK-3βのリン酸化は、モデル作成後いったん増加するものの、その後減少に転じることが確認された。特にCLPマウス肺組織において、オルプリノン、コルホルシン処置により細胞内cAMP濃度を上昇させると、組織傷害度を減じさせたが、その細胞内機序を解析すると、Aktリン酸化レベルは増強持続していた。一方CLPマウス脳組織においては、ルシゲニンの化学発光を用いてNADPH oxidaseの酵素活性を測定すると、時間経過とともに増加していた。さらに組織免疫染色法による解析では、脳血管周囲にニトロチロシン陽性像が増加、色素を用いた解析では脳血管透過性が増加していたことから、脳血管内皮細胞の傷害が示唆された。さらに、脳実質の神経細胞についてHE染色による顕微鏡観察を行うと、CLPマウス群において多数の細胞委縮変形像、濃染色像を認め、ラジカルスカベンジャー、エダラボン処置でそれらが減じることから、酸化/ニトロ化ストレス増加によって、脳血液関門はもとより最終的には脳神経細胞が傷害され、敗血症性脳症の発症につながることが示唆された。その一方では、CLPモデル作成からの時間経過とともに血液中のインスリン濃度が上昇してくることから、酸化/ニトロ化ストレス増加はインスリン作用不全に関連することが示唆された。つまり、敗血症病態においては、その侵害刺激に対応するため各組織においては反射的にインスリンシグナルを増加させる機構が備わっているが、徐々にインスリン作用不全の状態になり、その保護効果が減弱していくことで病態が進行していくものと予想された。
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Research Products
(11 results)