2011 Fiscal Year Annual Research Report
L型カルシウムチャネル阻害薬の開口状態親和性の定量的解析と阻害薬作用のモデル化
Project/Area Number |
21590275
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山田 充彦 信州大学, 医学部, 教授 (10263237)
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Keywords | L型カルシウムチャネル / ジヒドロピリジン / 膜電位依存性不活性化 / Timothy症候群 / アロステリックモデル / Ca_v1.2 |
Research Abstract |
ジヒドロピリジン系(DHP)L型カルシウムチャネル(LTCC)阻害薬ニフェジピンは、延長した心室筋細胞の活動電位をポテントに短縮する。このためには、ニフェジピンが活動電位中のLTCCの不活性化を加速することが重要である。そこで、脱分極電位でニフェジピンがLTCCの不活性化を加速する機序を解析した。 DHPはCa_v1.2 LTCCの膜電位依存性不活性化(VDI)を安定化してLTCCを抑制する。Ca_v1.2 LTCCは、少なくとも2つの(fast&slow)VDIを有する。Timothy症候群を生じる点変異(G436R)は、Ca_v1.2サブユニットのI-IIリンカー(L_<I-II>)に存在しVDIを障害する。そこで、野生型とこの変異を有するLTCCを介するホールセルBa^<2+>電流に対するニフェジピンの効果を比較した。 ニフェジピン非存在下では、同変異は-40及び0mVで、fast closed-及びopen-sate VDI(CSI&OSI)を障害したが、-100mVでのキネティックスに影響を与えなかった。野生型LTCCで、ニフェジピンは、-40及び0mVでそれぞれfast CSIとOSIを促進し、-40及び-100mVでそれぞれslowCSIを促進または安定化した。変異LTCCでは、ニフェジピンは、-40及び0mVでそれぞれ障害されたfast CSIとOSIを回復し、slow CSIに対しては野生型と同じ効果を示した。 したがってニフェジピンは、閾値以上の電位でL_<I-II>によりもたらされるfast CSI/OSIを促進する効果と、閾値以下の電位でslow CSI/OSIを促進または安定化する効果を有する。ニフェジピンによる活動電位短縮には、前者の作用が重要であると考えられた。
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Research Products
(15 results)