2011 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞内アセチルコリン産生系のエネルギー代謝調節と病態への関与の可能性
Project/Area Number |
21590283
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
柿沼 由彦 高知大学, 教育研究部・医療学系, 准教授 (40233944)
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Keywords | アセチルコリン / 心臓 / エネルギー代謝 / 酸素消費量 |
Research Abstract |
心筋細胞内アセチルコリン産生系は、その細胞内産生系をsiRNAでノックダウンさせる細胞を作製することにより酸素消費量が増加したことから、逆にその機能はミトコンドリアを恒常的に(constitutiveに)負に調節していることを明らかにした。このことから、この細胞内アセチルコリン産生系をノックダウンさせた細胞が、いかに非生理学的環境下におかれると細胞死を起こしやすくなるか、つまり病的状態にこのノックダウン細胞を置くことで、よりその細胞機能が破綻しやすいか否かを検討した。 1.ノックダウン細胞では、細胞間コミュニケーションが非常に抑制され、細胞内色素(LY色素)注入によっても色素の細胞間移動がコントロールと比べて著しく抑制された。また細胞間結合に関わる各種分子の蛋白発現も抑制された。 2.ノックダウン細胞では、その細胞内エネルギー基質が減少しており、細胞酸素消費量は逆に亢進することから、この細胞においてはエネルギー基質の産生よりもむしろ消費が亢進していると考えられた。 3.このノックダウン細胞に対するエピネフリンの細胞毒性試験を行ったところ、コントロール細胞と比較して低濃度で毒性、すなわち細胞死が惹起された。この時の各種細胞死関連シグナルを評価したところ、明らかにノックダウン細胞ではより低濃度エピネフリンによって容易に細胞死が誘導されており、このことはコントロール細胞よりもノックダウン細胞ではより細胞死を起こしやすくなっていた。 4.細胞内アセチルコリン産生系を、逆に薬理学的介入により亢進させることが可能かどうか検討したところ、一酸化窒素(NO)関連薬物によりその亢進の可能性が示唆された。現在、NOに依存しない別の経路を介した亢進方法について検討をしており、小動物を用いた系では明らかにその亢進効果が認められた。そこでヒトでも同様であるかをさらに確認するため、検討しているところである。
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Research Products
(15 results)