2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺静脈心筋自動能における細胞内カルシウムとナトリウムカルシウム交換機構の役割
Project/Area Number |
21590293
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 光 東邦大学, 薬学部, 教授 (40236617)
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Keywords | 肺静脈心筋 / Na^+/Ca^<2+>交換機構 / Ca^<2+>チャネル / 筋小胞体 / イメージング |
Research Abstract |
微小電極法により肺静脈心筋の自発的活動電位波形を記録する方法と、肺静脈組織標本の心筋細胞内Ca^<2+>濃度変化を観測する方法を併用し、モルモットおよびラット肺静脈心筋の自発活動の発生機序を検討した。肺静脈心筋では自発的な電気活動と細胞内Ca^<2+>オシレーションが観測されたが、これらの現象が観測される頻度はラットよりもモルモットで高かった。Ca^<2+>オシレーションはCa^<2+>トランジェント、Ca^<2+>ウェーブ、Ca^<2+>スパークの3種が観測された。モルモットでは最大拡張期電位が脱分極側に移動し、持続的な電気活動と細胞内Ca^<2+>オシレーションが誘発された。これらの活動はいずれも筋小胞体のCa^<2+>放出を阻害するryanodine処置により完全に消失した。一方ラットでは、noradrenaline処置により最大拡張期電位はまず過分極側に、ついで脱分極側に移動し、電気活動と細胞内Ca^<2+>オシレーションが誘発された。活動電位の発生は間欠的で、数分間のburstと休止を繰り返す様式であった。Ryanodine処理によりburstの持続時間は短縮され、約半分の標本で電気活動は完全に消失した。Ryanodine存在下で残存した電気活動は、nifedipine処置により完全に消失した。Noradrenalineで誘発された自発活動に対するNa^+/Ca^<2+>交換機構阻害薬の抑制効果は限定的であった。これらの結果から、肺静脈心筋の自発活動が交感神経興奮時に誘発される可能性が示された。その発生には、筋小胞体とNa^+/Ca^<2+>交換機構が関与する機構に加え、細胞膜のCa^<2+>チャネル電流による脱分極に基づく機構が存在することが明らかになった。
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Research Products
(19 results)