2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺静脈心筋自動能における細胞内カルシウムとナトリウムカルシウム交換機構の役割
Project/Area Number |
21590293
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 光 東邦大学, 薬学部, 教授 (40236617)
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Keywords | 肺動脈心筋 / Na^+/Ca^<2+>交換機構 / Ca^<2+>チャネル / 筋小胞体 / イメージング |
Research Abstract |
微小電極法により肺静脈心筋の自発的活動電位波形を記録する方法と、肺静脈組織標本の心筋細胞内Ca^<2+>濃度変化を観測する方法を併用し、主としてモルモット肺静脈心筋の自発活動の発生機序を検討した。肺静脈心筋では自発的な電気活動と細胞内Ca^<2+>オシレーション(Ca^<2+>トランジェント、Ca^<2+>ウェーブ、Ca^<2+>スパークの3種)が観測された。肺静脈心筋組織標本を高頻度電気刺激すると、刺激修了直後に自発的な脱分極、いわゆるdelayed afterdepolarization DADが発生し、それが激発活動triggered activityに発展する現象が見られた。これらの活動はいずれも筋小胞体のCa^<2+>放出を阻害するryanodine処置により完全に消失した。Na^+-Ca^<2+>交換機構阻害薬によりCa^<2+>ウェーブ、Ca^<2+>スパークは影響されなかったが、Ca^<2+>トランジェントは完全に抑制された。肺静脈心筋の静止膜電位は心房筋や心室筋に比べて浅く、再分極力が弱いことが示唆された。Acetylcholine活性化カリウムチャネルを開口させるcarbacholにより再分極力を補った状態では、静止膜電位が過分極方向にシフトして心房筋・心室筋に近い値となった。この条件下では自然に見られる自発活動や高頻度刺激後のDADやtriggered activityもほぼ完全に抑制された。これらの結果から、肺静脈心筋では心房筋や心室筋に比べて再分極力が弱く、この性質が筋小胞体とNa^+-Ca^<2+>交換機構が関与する自発活動を許容していることが明らかになった。
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Research Products
(23 results)