2011 Fiscal Year Annual Research Report
ATP・アデノシン系は生活習慣病モデル動物の拡張機能障害心に保護作用を示すか?
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21590296
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
篠塚 和正 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (50117777)
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Keywords | ラット心室筋 / ATP放出 / アデノシン放出 / 交感神経機能 / ノルアドレナリン遊離 / 低酸素 / SHRSP.Z-Lepr^<fa>/IzmDmcrラット / プレコンディショナル |
Research Abstract |
目的:本年度はATPやアデノシンなどのプリン物質が、虚血心における交感神経におけるノルアドレナリン遊離機能にどのように関わっているのか、という点について検討を加えた。 方法: 交感神経の刺激は白金電極を介して電気刺激装置により行った。刺激条件としては0.5msec50Vの矩形波を1Hzの頻度で3分間加えた。遊離されたノルアドレナリンは高速液体クロマトグラフィーと電気化学検出器を用いて測定した。 結果: 心室標本におけるノルアドレナリン遊離に対する低酸素の影響:Wistarラットの心室筋標本からの自発的なノルアドレナリン遊離量は、低酸素状態下において有意に増加した。電気刺激を加えた心室筋標本からのノルアドレナリン遊離量も低酸素状態において有意に増加した。 心室標本におけるノルアドレナリン遊離に対するアデノシンの影響:正常な酸素状態において、Wistarラットの心室筋標本からの自発的なノルアドレナリン遊離量に対しアデノシンは有意な影響を与えなかったが、電気刺激によるノルアドレナリン遊離に対しては有意な抑制作用を示した。一方、低酸素状態下において増強されたノルアドレナリンの自発遊離はアデノシンにより有意に抑制され、さらに低酸素状態下での電気刺激によるノルアドレナリン遊離に対しても、アデノシンは有意な抑制作用を示した。 考察:本研究より、低酸素状態における交感神経由来ノルアドレナリンの非生理的大量遊離に対しアデノシンが抑制作用を示すことが明らかにされた。本研究ではすでにアデノシンの遊離は低酸素で増加し、この増加はNICOで増強されることが観察されている。さらに、ニコランジルやアデノシンが虚血プレコンディショニングに重要であるという報告を考えあわせると、心臓におけるプレコンディショニング機構には、このような交感神経におけるアデノシンの保護作用も関与していることが考えられる。
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