2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内変性タンパク質の凝集機構解明と凝集体形成阻害による新規心筋症治療法の開発
Project/Area Number |
21590299
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
三部 篤 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (30425706)
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Keywords | 心筋症 / 低分子HSP / アグレゾーム / HDAC6 |
Research Abstract |
1)HDAC6のデスミン心筋症病態への関与(in vitro) デスミン心筋症の病態形成にHDAC6が関わっているか否かを、培養心筋細胞、アデノウイルスシステムおよびsiRNAをもちいたデスミン心筋症in vitroモデルを使用して詳細に検討した。心筋細胞にデスミン心筋症の原因の一つである点変異(Arg120Gly)α-Bクリスタリンを過剰発現させると、細胞内に不溶性凝集体が蓄積し、細胞生存率は低下した。点変異α-Bクリスタリンと同時にHDAC6を過剰発現させると、凝集体の蓄積は減少し、細胞生存率の低下は抑制された。一方、HDAC6特異的なsiRNAを用いてHDAC6をノックダウンすると、点変異α-Bクリスタリンによる凝集体蓄積は増加し、細胞生存率は低下した。また、脱アセチル化酵素活性を消失させたHDAC6 H216A,H611Aを発現させても同様に点変異α-Bクリスタリンの細胞障害は増大した。 2)HDAC6のデスミン心筋症病態への関与(in vivo) HDAC6の機能亢進あるいは機能消失により、デスミン心筋症病態が変化するか否かを、遺伝子改変動物モデルを使用してin vivoレベルで検討した。心筋特異的に点変異α-Bクリスタリンを過剰発現させると、心筋細胞内に不溶性凝集体が蓄積し、心筋肥大を伴いながら心機能は低下した。このデスミン心筋症モデルマウスの心筋にHDAC6の脱アセチル化酵素活性を消失させたHDAC6 H216A,H611Aを発現させると、心筋細胞内に凝集する不溶性凝集体量は増加し、それに伴い心筋肥大は増大した。以上のin vitroおよびin vivo研究の結果、HDAC6は心筋細胞において、不溶性凝集体の蓄積を制御し、その活性の低下はデスミン心筋症病態を悪化させることが明らかとなった。また、HDAC6の不溶性凝集体の形成制御には脱アセチル化酵素活性が必須であると考えられた。
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Research Products
(3 results)