2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムへの挿入変異を利用した疾患関連遺伝子の単離とその機能解析
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21590303
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (30262075)
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Keywords | がん遺伝子 / レトロウイルス / 挿入変異 / 疾患モデルマウス / がん分子標的 / ゲノム不安定性 |
Research Abstract |
がんの発症・悪性化の分子メカニズムを解明し、がんを克服するには、その原因となる遺伝子の効率的な同定と機能解析が重要となる。申請者は、レトロウイルス挿入変異を用いて、マウスに発症した血液腫瘍から、発がんに重要な共通挿入部位の遺伝子群を網羅的に同定してきた。これまでの大規模解析から、高頻度に単離される標的として、ヒストンのメチル化酵素17種(Ezh2,Setd7,Smyd2など)と脱メチル化酵素11種(Fbxl10,Jmjd3,Jmjd2cなど)を同定した。メチル化、アセチル化、リン酸化などヒストンの翻訳後修飾は、転写制御、DNA複製、X染色体不活性化をはじめとする様々な生物学的現象に関与している(ヒストンコード仮説)。ヒトのがんでは、ヒストンのアセチル化酵素の変異や脱アセチル化酵素の発現異常が検出され、脱アセチル化酵素の阻害剤が既に抗がん剤として開発されている。一方、メチル化を制御する酵素群もまた、がんの新しい分子標的の有力な候補と考えられるため、同定した酵素について、ヒト肺がんにおける発現解析や、遺伝子発現に与える影響の網羅的な解析を進行している。 本年度は、食道がんで高発現が見られるJmjd2c脱メチル化酵素が、Mdm2がん遺伝子の発現上昇を誘導し、細胞内のp53がん抑制遺伝子産物の減少を引き起こすことを明らかにした。その際、Mdm2遺伝子発現制御領域にJmjd2cがリクルートされ、その領域に存在するヒストンH3の9番目のリジン(H3K9)の脱メチル化を介して、クロマチン構造を転写抑制状態から転写活性化状態に変換することを見いだした。このように、標的遺伝子の発現とともに、その発現制御領域でのヒストンの翻訳後修飾の変化を調べることで、がん細胞における遺伝情報発現異常の本質を理解していきたい。
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Research Products
(5 results)