2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質メディエーターとしてのN-アシルエタノールアミンの酵素学的解析
Project/Area Number |
21590310
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
上田 夏生 Kagawa University, 医学部, 教授 (20193807)
|
Keywords | N-アシルエタノールアミン / アナンダミド / エンドカンナビノイド / N-アシルトランスフェラーゼ / リソソーム / 酵素 / 脂質メディエーター / リン脂質 |
Research Abstract |
N-アシルエタノールアミン(NAE)は長鎖脂肪酸とエタノールアミンが縮合した一連の化合物であり、動物組織に広く分布し、多彩な生物活性により注目されているが、生体内での役割については不明な点が多い。NAEの体内レベルは酵素的に調節されており、炎症や組織傷害時に著しく増加する。本研究では、NAEの生合成・分解に関与する酵素群についての未解決の問題に取組み、NAEの生理的及び病態生理学的意義を明らかにすることを目的とした。N-アシルトランスフェラーゼはホスファチジルエタノールアミンのアミノ基に別のグリセロリン脂質分子からアシル基を転移することによりNAEの前駆体であるN-アシルホスファチジルエタノールアミン(NAPE)を生成する酵素であるが、21年度は同様の活性を有するタンパク質についての研究で一定の成果を得た。すなわち、我々はiNATと名付けたタンパク質がカルシウム非依存的N-アシルトランスフェラーゼ活性を有することを既に報告しているが、iNATと同じく「H-rev107ガン抑制遺伝子ファミリー」に属する3種のタンパク質H-rev107、HRASLS2、及びTIG3がいずれもホスホリパーゼA_1/A_2活性を示すこと、また、HRASLS2は比較的高いN-アシルトランスフェラーゼ活性を併せ持つことを見出した。H-rev107では、強いホスホリパーゼA_1/A_2活性に比してごく弱いN-アシルトランスフェラーゼ活性を認めた。一方、NAPEからNAEを生成するNAPE水解ホスホリパーゼD(NAPE-PLD)の遺伝子欠損マウスの解析を進め、野生型と較べてNAPEの体内レベルが著明に増加していることを確認したが、引続き種々の脂質分子を定量し、脂質代謝異常についての検討を進めている。
|
Research Products
(18 results)