2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590314
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 好 Fukushima Medical University, 医学部, 教授 (60192324)
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Keywords | リン酸化 / シグナル / ミトコンドリア / 脂肪酸 / デヒドロゲナーゼ / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
β酸化は生体のエネルギー供給において中心的な役割を担う代謝系であり、主にミトコンドリア内膜に存在する脂肪酸代謝酵素を含む複雑な分子複合システムである。β酸化の最初の反応ステップがアシルCoA-デヒドロゲナーゼ(ACAD)によるαβ位の脱水素反応(α,β-dehydrogenation)で、システム全体の律速となっている。このACADによる脱水素反応で生成する電子がフラビン分子を介して呼吸鎖へ供給されるが、同時に、活性酸素の発生とも密接に関連することから正常細胞のミトコンドリア内ではシステム全体が厳密に制御されている。β酸化の制御機構についての報告はほとんどないことから、本研究ではβ酸化を調節するシグナルの解明を目的とした。独自に肺線維症患者肺組織より樹立した初代培養細胞(肺線維症細胞)を用いた解析より次のことを明らかにした。1、肺線維症細胞では活性酸素や過酸化脂質の産生量が有意に高く、その代償として抗酸化ストレスタンパク質の発現が極めて高かった。2、ミトコンドリアタンパク質のプロテオミック解析を行い、肺線維症細胞に特有な変化を検出しタンパク質を同定した。3、その一つがACADファミリーに属するVLCAD1であった。正常細胞ではACADファミリーに属するVLCAD1がPKAにより恒常的にリン酸化されているのに対し、肺線維症細胞では有意に減少していた。4、PKAによるVLCAD1のリン酸化部位はセリン586であった。5、このリン酸化部位の変異体を用いた解析から、リン酸化と過酸化脂質の生成とが密接に関連することが判明した。以上のことから、β酸化システムがリン酸化などのシグナルにより調節されていること、過酸化脂質の生成にβ酸化システムが関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)