2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590314
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
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Keywords | リン酸化 / シグナル / ミトコンドリア / デヒドロゲナーゼ / 脂肪酸 / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
β酸化は生体のエネルギー供給において中心的な役割を担う代謝系であり、主にミトコンドリア内膜に存在する脂肪酸代謝酵素を含む複雑な分子複合システムである。β酸化の制御機構についての報告はほとんどないことから、本研究ではβ酸化を調節するシグナルの解明を目的とした。精製ミトコンドリア標品より既報に従いβ酸化系酵素複合体や電子伝達系複合体などを調製し、複合体タンパク質のプロテオーム解析を行なった。その結果、β酸化系を含むエネルギー代謝系の多くのコンポーネントがリン酸化やアセチル化などの翻訳後修飾を受けていることが明らかになった。これらの翻訳後修飾の生物学的意義を明らかにするために、HEK細胞に修飾を受けるアミノ酸を置換した変異体を強制発現させ細胞機能の変化を観察した。その第一段階として、ミトコンドリアに比較的高く発現している代表的なチロシンキナーゼc-Srcについて検討した。今回、c-Srcのターゲットとしてβ酸化系に含まれる1分子、TCA回路に含まれる1分子、電子伝達系に含まれる2分子のリン酸化部位を特定したが、変異体の発現により、(1)ATP産生を抑制する、(2)活性酸素産生を有意に促進する、(3)明らかな変化が検出できない、などに分類できることが判明した。また、多くの変異体がアポトーシスを誘導したが、(1)または(2)の現象が同時に観察された。一方、活性酸素を恒常的に産生する変異体発現細胞株の遺伝子発現解析から、これらの細胞ではセレン含有タンパク質やチオレドキシンなどの抗酸化タンパク質や、エネルギー代謝経路の変換を担うタンパク質の発現が高くなる傾向を示した。以上のことから、シグナル系が直接β酸化系の調節や過酸化脂質の生成に関与することが示唆された。
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Research Products
(5 results)