2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590315
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
丹伊田 浩行 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20336671)
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Keywords | DNA修復 |
Research Abstract |
ヒトをはじめとして全ての真核生物は常に内的、外的要因によるDNA損傷に曝されている。DNAの損傷を迅速に修復することは生物の生存にとり必須であり、この機構がうまく働かないことで癌などの疾患を引き起こすことになる。 DNA修復には塩基除去修復、ヌクレオチド除去修復や二重鎖切断修復など損傷の種類に応じて修復機構が異なるが、全ての場合に新たなDNA合成を必要とする。筆者はDNA修復に伴うDNA合成の原料となるデオキシリボヌクレオチドの供給に核酸の合成経路の律速酵素、リボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)とDNA修復に必須であるヒストンアセチル化酵素Tip60の会合が重要であることを報告している。さらにTip60によるRNRのアセチル化修飾が活性調節する可能性を考えin vitroでアセチル化アッセイを行ったところ、RNRの5番および17番リジン残基がTip60依存的にアセチル化されることを見出し、昨年報告した。今年度はさらに詳細な検討を加えたところ、5、17番リジンに加え24、48番のリジンもアセチル化されていること質量分析により明らかにした。これらのアセチル化もTip60に依存するのかin vitroのアッセイ系において検討すると、Tip60によってアセチル化されることがわかった。 RNRのアセチル化がその活性に影響を与えうるか知るために昆虫細胞内でRNR単独、あるいはRNRとTip60の共発現を行い、このタンパクを用いてRNR活性を測定するとTip60と共発現させたRNRでは活性が増強していることが明らかとなった。現在in vtroで同定した部位を変異させ、アセチル化されないようにしたタンパク質を調整してTip60依存的な酵素活性の増強が得られるのか試験しているところである。これらのアセチル化が活性に影響を与える場合、いかなる変化がRNR分子内で起きているのか、アロステリック調節との関わりから検討を進めて行く予定である。
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