2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質代謝におけるミトコンドリア型CYP1A1の作用メカニズム
Project/Area Number |
21590319
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宇野 茂之 Nihon University, 医学部, 講師 (90307851)
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Keywords | チトクロームP450 / ミトコンドリア / 生体異物代謝 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
生体異物である多環芳香族炭化水素(PAHs)の代謝に重要な酵素であるチトクロームP450(CYP)1A1は生体異物の暴露によってミクロソームにおいて発現が増加するが、ミトコンドリア内膜においても発現が増加している。この異なったオルガネラの発現誘導は何を意味しているか?食生活の欧米化に伴い食事から動物性脂肪のみならずPAHsの過剰摂取が考えられ、絶えず脂質代謝系とCYP1A1による生体異物系が同時に活性化していると考えられる。脂質代謝に関与するCYPはミトコンドリアに存在することから、ミトコンドリアにおいてミトコンドリア型CYP1A1による生体異物および他のCYPによる脂質代謝カスケードの間に生ずる負のクロストークが生活習慣病の発症頻度を増加させているかもしれない。21年度の本応募研究では生体異物代謝におけるミクロソーム型(Mc)、ミトコンドリア型(Mt)CYP1A1の機能解析についてノックインマウスを用いて検討した。Mt CYP1A1はMc CYP1A1にはないErythromycin N-demethylase活性を有するが、BaP hydroxylase活性はMc CYP1A1の46%であったことからMtとMcのCYP1A1では基質特異性が異なることが示唆された。BaPによってのCyp1a1遺伝子欠損マウスで誘導される脾臓および胸腺の委縮などの毒性は、Mt CYP1A1では誘導されたが、Mc CYP1A1では、誘導されなかった。Mc CYP1A1はBaPを速やかに代謝しているが、Mt CYP1A1はBaPの代謝が遅延していた。さらにMt CYP1A1はCyp1a1遺伝子欠損マウス同様にBaP-DNA付加体形成が増加していた。これらの結果から生体異物代謝にはミクロソーム型CYP1A1が重要であることが示唆された。今後、Mt CYP1A1の脂質代謝系への関与を検討する。
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Research Products
(1 results)