2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂質代謝におけるミトコンドリア型CYP1A1の作用メカニズム
Project/Area Number |
21590319
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宇野 茂之 日本大学, 医学部, 講師 (90307851)
|
Keywords | チトクロームP450 / ミトコンドリア / 生体異物代謝 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
生体異物である多環芳香族炭化水素(ベンゾ(a)ピレン(BaP))の代謝に重要な酵素であるチトクロームP450(CYP)1A1は生体異物の暴露によってミクロソームにおいて発現が増加するが、ミトコンドリア内膜においても発現が増加している。この異なったオルガネラの発現誘導は何を意味しているか?について検討を行ってきた。21年度のミクロソーム型(mc)1A1、ミトコンドリア型(mt)1A1の生体異物代謝系における機能解析、22年度はCyp1a1遺伝子欠損マウスを用いてコレステロール及び胆汁酸代謝におけるCYP1A1の関与について検討し、BaPの代謝にはミクロソーム型CYP1A1が重要であること、BaP暴露時においてCYP1A1のコレステロール及び胆汁酸代謝への関与が示唆された。23年度では、BaP暴露時におけるミトコンドリア型CYP1A1についても検討したところ、コレステロールおよび胆汁酸の血液および肝臓中での動態変化は、BaPの代謝遅延によって誘導されるトランスポーターの発現異常が要因であり、ミトコンドリア型よりもむしろミクロソーム型CYP1A1がコレステロール、胆汁酸代謝の正常化に重要であることが示唆された。このことからミトコンドリア型CYP1A1は脂質代謝にはほとんど関与していないと考えられる。 また、BaPのミトコンドリアDNAの付加体形成について検討したところ、ミトコンドリア型CYP1A1がミトコンドリアDNAの付加体形成を抑制することを示唆する結果が得られた。現在、ミトコンドリアの代謝異常における防御機構にミトコンドリア型CYP1A1が関与しているかについての検討を継続しており、ミトコンドリア型CYP1A1の役割について早期に解明し、報告したい。
|