2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼ反応の中間過程および電子授受機構の解明
Project/Area Number |
21590321
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
野口 正人 久留米大学, 医学部, 教授 (10124611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 准教授 (40352124)
佐藤 秀明 久留米大学, 医学部, 准教授 (60271996)
杉島 正一 久留米大学, 医学部, 講師 (30379292)
坂本 寛 九州工業大学, 情報工学研究院, 准教授 (70309748)
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Keywords | 酵素 / 生体分子 / 蛋白質 / 有機化学 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)反応によって、ヘムは3段階の酸素添加反応により、α-ヒドロキシヘム、α-ベルドヘム、ビリベルジン鉄錯体の中間体を経てビリベルジン、CO、Fe^<2+>に分解される。ベルドヘムがビリベルジン鉄錯体に転換される中間過程には,ベルドヘムのオキサポルフィリン環が一電子還元されたベルドヘムπ-中性ラジカル体[Fe^<II>(verdoheme^●)]が関与する可能性が示唆されてきた。昨年度、COなどを軸配位子とする鉄(II)α-ベルドヘム-ラットHO-1(rHO-1)複合体のオキサポルフィリン環に対する一電子還元反応の還元電位を電気化学的手法により求めたところ、rHO-1に結合したCO配位型鉄(II)ベルドヘム環の還元電位が,外来配位子を加えない場合に比べて0.06Vほど高いことを見いだした。この結果は,COが配位することによって,P450還元酵素(CPR)からオキサポルフィリン環への電子伝達が容易になることを示している。今年度はこの可能性を検討するために、嫌気条件下における鉄(II)ベルドヘム環の還元電位を再測定し、その還元電位がCO結合によって-0.465から-0.392Vに上昇することを確認した。後者の電位はCPRのFADのセミキノン/還元型の酸化還元電位に近いので、FADによるCO配位型鉄(II)ベルドヘム環の一電子還元は熱力学的に可能であると考えられた。事実、CO存在下、CPRおよびFMN欠失CPRによって、Fe^<II>(verdoheme^●)が生成されることを、紫外可視分光および電子スピン共鳴を用いて明らかにした。よって生理的条件下でも、ベルドヘムの分解は,最初にO_2が鉄に軸配位し、ついでオキサポルフィリン環がCPR(おそらくFAD)により還元されて,ビリベルジン鉄錯体への転換が進むものと判断された。
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Research Products
(7 results)