2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体フロントラインの防御機構と、その破綻による疾病
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21590323
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
和田 守正 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (20220965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 京子 長崎国際大学, 薬学部, 助教 (50435137)
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Keywords | 生体分子 / タンパク質 / 膜輸送 / 生体防御 / 分子医薬学 / 分子間相互作用 / 腸管腫瘍形成 |
Research Abstract |
【1】ABCB1欠損マウスの分子病理解析と疾患発症メカニズムの解明:一昨年度、ABCB1欠損マウスでは、腫瘍が特定のサイズ段階に留まることを見出した。腫瘍形成過程におけるABCB1の作用点を明らかにするために、遺伝子発現プロファイルの比較検討を行ったが、個体ごとに腫瘍をプールして個体間比較を行ったために、腫瘍間の発現差異が混在している懸念があった。そこで平成22年度は、個々の腫瘍を2分割し、一方を詳細な病理学的評価に、他方を発現解析に用いることとした。その結果、(1)腫瘍とともに筋層の混入した検体が3割で見られ、(2)1割の検体で病理学的悪性度が異なる例が確認されたので、この2点をそろえて個体間比較を行うことにより、信頼性の高い解析が可能となった。網羅的遺伝子発現プロファイルの解析から、特定のサイズ段階でERBB2とunspecific monooxygenaseを中心としたパスウェイの発現亢進を見出し、新しいがん治療の標的を提示できる可能性が得られた。 【2】相互作用タンパク質の同定と機能修飾の解明:相互作用検出のためにスプリット・ユビキチン法を開始したが、(1)高分子膜タンパク質であるABCトランスポーターの酵母における発現を検出することが予想以上に難しいこと、(2)陽性クローンの出現頻度が極端に低いこと、が問題となった。しかしながら、(1)培養と酵母の破砕・溶解条件の検討により発現検出の困難を克服し、(2)bait構築体の安定発現株を樹立したのちpreyライブラリーを導入することでヒトABCC2発現の難しさを克服した。さらに、(3)形質転換効率が高いサブクローンをスクリーニングにて選別することにより陽性クローンの出現頻度を上昇させることに成功し、(4)cDNAライブラリー導入後、段階的に選択マーカーを増やすことにより、一段階では得られない「弱い相互作用」を検出できることを明らかにした。
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[Journal Article] Gene knockout and metabolome analysis of carnitine/organic cation transporter OCTN1.2010
Author(s)
Kato Y, Kubo Y, Iwata D, Kato S, Sudo T, Sugiura T, Kagaya T, Wakayama T, Hirayama A, Sugimoto M, Sugihara K, Kaneko S, Soga T, Asano M, Tomita M, Matsui T, Wada M, Tsuji A.
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Journal Title
Pharm Res
Volume: 27
Pages: 832-840
Peer Reviewed
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