2011 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素誘導因子により転写誘導される細胞接着分子遺伝子群の協同作用の生理的意義
Project/Area Number |
21590324
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 愛知医科大学, 客員教授 (80161389)
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Keywords | 低酸素 / CD44 / ヒアルロン酸 / セレクチン / 生理活性脂質 / 糖脂質 / セラミド / LPA |
Research Abstract |
我々は以前に、低酸素により糖鎖合成遺伝子が数多く誘導され、これにより細胞表層の糖鎖に大規模な変化が生じることを明らかにし、またその糖鎖の一部が細胞接着に関与し、細胞の接着能が変化することを解析して報告した。低酸素によって多数の細胞接着活性を持つ分子が変化することから、本研究では、複数の細胞接着関連遺伝子が低酸素によって同期して転写誘導されることによって細胞接着に相乗的な変化を起こす点に着目することとした。今年度は、前年度のCD44とそのリガンドであるヒアルロン酸糖鎖の低酸素による変動の解析を継続して、低酸素によって数種のヒアルロン酸代謝酵素遺伝子が著明に転写誘導されることをあらたに明らかにした。その遺伝子に対するshRNA導入細胞を作成して、この変化の細胞生物学的意義を現在解析中である。低酸素によりCD44の特異的リガンドであるヒアルロン酸に大きな変動が起こり、CD44を介した細胞接着に有意の変化が誘導されると考えられる。また、CD44蛋白質の転写には変化がないものの、CD44蛋白質の糖側鎖に存在するセレクチンの糖鎖リガンドが低酸素により著明に増加することから、CD44のセレクチンのリガンドとしての活性も増大すると考えられる。複数の細胞接着関連遺伝子が低酸素によって同期して転写誘導されることによって、CD44とヒアルロン酸糖鎖との結合も亢進し、CD44の糖側鎖とセレクチンとの結合も亢進すると考えられる。また、初年度に我々は、低酸素によって糖脂質の脂質部分にも特有の変化が起こり、その変化は生理活性脂質であるセラミドやSIPの代謝系に関連していることを明らかにしたことから、代謝遺伝子の転写レベルと、質量分析法による物質レベルでの分析を併用して低酸素による脂質変化の解析をさらに進めた所、エイコサノイドやLPAの代謝にも深く関与するとみられる変化が検出された。
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Research Products
(5 results)