2011 Fiscal Year Annual Research Report
オーロラキナーゼの細胞分裂における機能とがんにおける異常の解明
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21590331
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
木村 正志 岐阜大学, 医学系研究科, 助教 (40260575)
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Keywords | オーロラキナーゼ / 細胞分裂 / 細胞死 / がん |
Research Abstract |
Auroraなどの中心体タンパク質のRNA干渉により、紡錘体の異常と細胞死が起こるが、その細胞死過程の紡錘体形態やシグナル伝達(p53, Caspase, BubR1, Mad2など)を解析した(論文投稿準備中)。また、AuroraとCDKの阻害剤であるJNJ-7706621の細胞分裂とチェックポイントへの影響を解析した。JNJ-7706621は、細胞周期をG1とG2期で停止させるが、高濃度では細胞死も引き起こした。また、JNJ-7706621を作用させると、ノコダゾールによる紡錘体チェックポイントが解除され、細胞質分裂を行わずにG1期に移行する。この時、チェックポイントタンパク質、PLK1、細胞質分裂制御タンパク質の細胞内局在に異常がみられた(Curr Cancer Drug Targets, in press)。さらに、CHFRと相同生のあるRNF8の細胞周期制御における機能を解析した。RNF8のノックダウンにより、S期とG2/M期の進行に異常がみられた。RNF8の過剰発現によりPLK1タンパク質が減少し、RNF8のノックダウンによりPLK1の増加がみられた。また、RNF8は、がん細胞では発現が抑さえられていたが、PLK1は逆にがん細胞で過剰発現がみられた(Biochem Biophys Res Commun, 2011)。 AuroraおよびPLK1は細胞周期と発がんの重要な制御タンパク質であり、現在多くのAurora阻害剤が開発され、抗がん剤としてしての効果が検討されている。今回の結果は細胞死、細胞分裂、チェックポイントメカニズムの解明と将来のがん治療において重要な意味を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトAuroraの細胞分裂とがんにおける機能に関して、阻害剤による影響などについて論文発表を行った。Auroraの生殖細胞における機能については、現在トランスジェニックマウスの解析を行っている。細胞周期制御に関与するタンパク質RNF8とPLK1についても論文を発表したが、さらにいくつかの新規因子について解析中である。これらのことからおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Auroraの生殖細胞における機能については、現在までにトランスジェニックマウスの作製はすんでおり、解析を行って論文にまとめる予定である。細胞周期制御に関与するいくつかの新規因子について解析中であり、少なくとも一つについては今年度中に論文にまとめようと考えている。ヒトAuroraの細胞分裂とがんにおける機能に関して、Auroraにより制御を受ける新規タンパク質を見出しており、今後解析を進める予定である。
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