2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の低酸素誘導性形質変化の分子機序の解明
Project/Area Number |
21590335
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
冨田 修平 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00263898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 俊晃 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80179879)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 低酸素応答 / 肺高血圧症 / 転写因子 / HIF / 微小環境 / 酸化ストレス / 活性酸素 |
Research Abstract |
本研究課題では、微小低酸素環境が引き起こす血管再構築における血管内皮細胞(EC)の役割を明確化するために、ECのHIFシグナルによるその機能的・形態的変化がどのように血管再構築の主要変化である血管平滑筋(SMC)の増殖・遊走を引き起こすのか、その分子機構の解明を目指している。具体的には、ECおよびSMCの各細胞系譜特異的HIF-1遺伝子欠失マウスにおける肺高血圧症モデルあるいは大腿動脈結紮虚血モデルによる血管再構築を主な研究対象とする。また、ECあるいはSMCをGreen Fluorescent Protein(GFP)あるいはLacZで標識したマウスを確立することにより生体レベルでの細胞系譜別形態・機能評価を目的とした可視化モデルを作製する。確立したマウスを用いて血管再構築モデルを作製することにより、生体内でECあるいはSMCに発現するHIF分子がどのように血管再構築過程に関与するのかを形態的観点より理解する。一方で、マウス肺組織から分離精製したECおよびSMCを用いて網羅的解析手法を利用して血管再構築の詳細な分子機構の解析を実施する。以上の結果をもとに、ECのHIFシグナル関連分子による血管再構築の人為的制御システムを構築し、ECを標的とした血管再構築の伴う疾患の新たな治療方針を提案する。初年度の成果として、我々はEC特異的なHIF-1beta遺伝子欠失マウスを作製し、モノクロタリン誘導性肺高血圧症モデルおよびその評価系の確立を行った。そして、肺高血圧症の病態は、ECに発現するHIF-1betaを介して形成されている結果が得られた。本変異マウスの肺高血圧症モデルでは、右心系負荷を示す右心室重量/左心室重量比率は減少し、組織学的解析による小肺動脈の血管周囲の筋層化も軽減されていた。現在、細胞内での分子レベルの変化について解析するために、肺動脈血管内皮細胞の単離技術の確立を進めている。
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