2009 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞におけるRunx転写因子の標的遺伝子探索
Project/Area Number |
21590348
|
Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
直江 吉則 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 老化機構研究部免疫研究室, 室長 (50392048)
|
Keywords | 免疫学 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
Runxファミリーはαサブユニットおよびβサブユニットで2量体を形成する転写因子であり細胞の発生・分化過程において極めて重要かつ多様な役割を持つと考えられている。哺乳類ではRunx1、Runx2およびRunx3のαユニットとCBFβのβユニットが知られている。興味深いことに、京都大学の坂口らはFoxp3転写因子の機能発現にはRunx1との会合が重要であることを報告した。一方、申請者はRunx転写因子のβユニットのCBFβ2を欠損するマウスでは、喘息様疾患ならびに腸炎を自然発症することを発見した。これら発見を基に、申請者のグループは坂口らと共同研究を行い、Treg細胞特異的にRunx転写因子を欠損するマウスを作成した。その結果、Treg細胞特異的なRunx転写因子の機能不全により胃炎を始めとする自己免疫の発症とFoxp3転写因子の発現低下が見られた。これらの結果はRunx転写因子はTreg細胞の機能に重要な役割を果たしていることを示す。従って、その詳細な機序を明らかにするためにクロマチン免疫沈降法(Chromatin immunoprecipitation ; ChIP)とタイリングアレイと組み合わせたChIP on chip法によりTreg細胞におけるRunx転写因子の標的遺伝子の探索を行った。その結果、Runx転写因子がFoxP3転写因子遺伝子座に結合し、その発現を直接制御していることが明らかになった。また、Runx転写因子欠損細胞にFoxP3転写因子を導入するとTreg細胞の機能が回復した。従って、Runx転写因子はFoxP3転写因子遺伝子の発現を直接制御することによりTreg細胞の機能を誘導することが明らかになった。この結果は既に論文として報告した(Immunity, JEM)。
|