2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞の足場非依存性増殖に関与する新規シグナル分子CDCP1の機能解析
Project/Area Number |
21590350
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
上北 尚正 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (50373402)
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Keywords | CDCP1 / 足場非依存性増殖 / 細胞運動能 / がんの浸潤 / MMP / 細胞間接着 |
Research Abstract |
CDCP1のドメイン機能解析では、昨年の3つのCUBドメイン全欠失変異体の解析よりさらに進み、1つ1つのドメインの欠失変異体からCUBドメインの2,3がCDCP1同士の複合体形成に関与する事が示唆された。ただし、細胞間接着に関しては、有意な差が観察できなかった。この問題点は、各欠失変異体を恒常的に発現させる系がまだしっかり確立できていないためと判断し、ウイルス感染系等の確立をしている。CDCP1の細胞外ドメイン結合蛋白質は同定が出来ていないが、細胞内ドメインにおいてはCortactinがCDCP1複合体に存在する事が分かった。さらに、CDCP1結合因子であるPKCδと結合する事が明らかとなり、結合にはCDCP1が必要である事が示唆された。 癌細胞の運動能・浸潤能に関しては、CDCP1を介したMMP-9の分泌と運動能の制御が膵がん細胞の浸潤能に関与する事、予後因子である事が論文に掲載された。また、CDCP1は膜型MMPで浸潤に関与するMT1-MMPと結合し、浸潤突起部分及びその近傍に局在する事、CDCP1を抑制すると浸潤突起が減少する事等を発見し、現在は癌の浸潤に関わるCDCP1とMT1-MMPの機能に関して細胞生物学的見地から解析を進めている。 CDCP1の発現に関しては、肺癌細胞株58種の定量PCRから正常組織に比べてRAS変異のある肺癌細胞株で有意にCDCP1の発現が高い事を発見した。また、予備実験においてRAS活性型変異体を強発現するとCDCP1のmRNAが上昇する事も確認できた。今後は、実際の肺癌組織検体やRASのsiRNAによるRAS抑制とRAS活性型変異体の強発現等で裏表の検証をおこなうと共に今までに明らかにしてきた足場非依存性増殖への影響、細胞の浸潤能・転移能への影響等を調べる予定である。
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Research Products
(5 results)