2011 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺高悪性度腫瘍(低分化癌・未分化癌)の遺伝子異常プロフィールの多角的解析研究
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21590367
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
加藤 良平 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30152755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 哲夫 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (30334858)
中澤 匡男 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (10345704)
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Keywords | 甲状腺癌 / 未分化癌 / 低分化癌 / RET遺伝子再構成 / BRAF遺伝子突然変異 |
Research Abstract |
1.RET/PTC遺伝子再構成がヒト甲状腺乳頭癌で特異的に発現し、その頻度は今まで日本人では低値だと言われてきた。しかし、我々の検討では欧米の報告と同様に約30%程度で、日本人と欧米人の間にはその出現頻度に大きな差は認められなかった。また、19歳以下の若年者甲状腺癌ではRET遺伝子再構成のうち、RET/PTC3が多く出ることを証明した。FISH法でRET遺伝子再構成を検討すると、乳頭癌の7割以上でRET遺伝子の再構成があることが証明された。この結果はPCR法を用いた従来の方法よりも非常に高い。また、FISH法での検討では、乳頭癌細胞にはRET遺伝子再構成が陽性のものと陰性のもが混在することから、RET遺伝子再構成は、腫瘍の発生に直接関与するものではなく、腫瘍の発生後に起こった可能性を示唆することができた。面白いことに、このRET遺伝子再構成は未分化癌では一例も見出すことができず、RET遺伝子再構成は分化癌から未分化癌への転化とは関係が乏しいことが推察された。 2.BRAF遺伝子突然変異を検討すると、この遺伝子変異は乳頭癌と未分化癌に特異的に出現することが証明された。実際、未分化癌と高分化癌が混在する腫瘍をマイクロダイゼクション法を用いて、それぞれの腫瘍組織型部から拡散をして検討してみると、BRAF遺伝子の突然変異がそのプログレッションに関与することが示唆された。 3.P53遺伝子化の変異は未分化癌で特異的に検出され、未分化癌の発生に重要な遺伝子変異であることが確認された。 以上より、高悪性度腫瘍(低分化癌、未分化癌)の遺伝子異常のプロフィールとして、低悪性度腫瘍(乳頭癌)から未分化癌のプログレッションにはBRAF遺伝子突然変異とp53遺伝子突然変異が重要な役割を果たすことが証明された。また、RET遺伝子再構成は高悪性度腫瘍には関係しないことが示唆された。
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Research Products
(6 results)