2010 Fiscal Year Annual Research Report
未分化型胃癌の進展にエピジェネティックな発現調節がどのようにかかわっているか
Project/Area Number |
21590369
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
杉原 洋行 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30171169)
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Keywords | 未分化型胃癌 / epigenetics / がん進展 / アレイCGH / インテグリン / 上皮間葉転換 / 腸形質 |
Research Abstract |
今年度は未分化型胃癌のレーザマイクロダイセクションからのDNA抽出に難渋し、繰り返し採取してもなかなかアレイ解析ができる程、量的に十分なDNAが採取できず、やむなくDNA抽出の容易な分化型胃癌でアレイCGH解析を進めた。しかしながら、これによって、胃癌の進展パタンと遺伝子コピー数変化との間に、意外にも明瞭な関係があること、遺伝子としては、TP53、MYCの他に、(昨年度未分化型胃癌で発現を検討した)上皮間葉転換(EMT)にかかわるインテグリンとカドヘリン(ITGA1、ITGA2、ITGA5、ITGA6、CDH1)だけでなくREG4、CDX2、MUC2、等腸型関連遺伝子にも注目すべきことが明らかになった。EMTについては、dormantな腫瘍では上皮性インテグリンのコピー数の減少が、aggressiveな腫瘍では間葉性インテグリンのコピー数の増加が見られた。腸型形質については、分化型胃癌で腸形質のゲノタイプとフェノタイプを比較したところ、発現レベルではほとんどの症例に腸型形質が混在していたが、ゲノムレベルではdormantな腫瘍では腸型遺伝子のコピー数減少、aggressiveな腫瘍では逆にコピー数の増加がみられるものがあった。これらの発現とゲノムコピー数のデータから、aggressiveな腫瘍ではゲノムコピー依存性に発現亢進が起こるものがあったのに対し、dormantな腫瘍ではエピジェネティックに発現増加が起こることが示唆された。次年度はこれらのことが未分化型胃癌についても言えるのかどうかを明らかにしたい。また、マイクロサテライト不安定性の腫瘍内多様性については、hMLH1のプロモータメチル化の蓄積が時間依存性、局所的に起こり、late eventとしてマイクロサテライト不安定性が獲得されることに起因することを示し、Cancer Lettersに論文として掲載された。
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